「知多半島のNPOと地域づくり」

「現代福祉」の講義で知多半島のNPOの歴史に触れる学生

「現代福祉」の講義で知多半島のNPOの歴史に触れる学生

4月21日(火)の4限、国際福祉開発学部の吉村輝彦教授が担当する「現代福祉」の中で、特定非営利活動法人地域福祉サポートちたの代表の岡本一美さんが、ゲスト講師として「知多半島のNPOと地域づくり」というテーマで、知多半島のNPOの歴史と、中間支援組織の存在意義、また多様なネットワークを基盤とした「0歳〜100歳の地域包括ケア」のビジョンにむけた取り組みについてお話くださいました。

岡本さんの講義によると、知多半島の地域福祉の歴史は、1990年に東海市の地で佐々木幸雄さんが、家事援助の団体ふれ愛を立ち上げたことに始まるというものでした。いまでもボランティアとは、個人の自発的活動ではなく無償の奉仕として理解されるが、当時はさらにその傾向が強かった。そんな中で、日常の困りごとを地域で支えあう仕組みとして「有償ボランティア」という仕組みづくりを行った。頼む方は、支援する人への申し訳ないという気持ちを和らげることにつながり、さらに支援する人に経済的便益を与えることで、持続的に支え合う仕組みとして定着した。これらは、2000年「介護保険制度」として国の制度に発展する礎となった。

この過程において、地域を越えて「困ったときはお互いさま」という縁で結ばれたネットークが創られていった。そのネットワークを維持しているのが中間支援NPOである特定非営利活動法人地域福祉サポートちたである。今では、知多半島の中に、35団体、その他の地域の25団体が緩やかにつながるネットワークの中で、地域の「ふくし(ふだんのくらしのしあわせ)」が育まれている。

最近では、行政が組織する市民活動センターや社会福祉協議会が組織するボランティアセンターなどが相互に連携し合い課題別のテーマネットワークも構築されている。2014年の5月に知多半島のNPOや地縁組織、本学といった地域資源を活かした地域包括ケアの新たな仕組みの構築を目指して、特定非営利活動法人地域福祉サポートちたと、日本福祉大学との連携で行われた知多地域円卓会議では、様々なセクターから人が集い、高齢社会を迎える日本の地域包括ケアについての対話の場がつくられました。

0歳〜100歳までの地域包括ケア

0歳〜100歳までの地域包括ケア

このように、中間支援NPOが地域に存在することによって、様々なセクターの人同士がつながる場づくりを通して、「NPO、行政、社会福祉協議会、企業、市民が共に社会を創り合う機会」を創出することができている。知多半島に暮らす人々は、知らず知らずのうちに、これらのネットワークから提供されるサービスを受けることができる。そして、このネットワークに参加することによって社会を変えていくことにつなげていくことができるのである。

担当の吉村先生からは、「制度にのっとった取り組みだけでは、解決できない状況がある。」と整理した上で、「それに対応していくためにはいろんな人の知恵が必要でそれを知多半島で実現しているのがサポちたさん」とまとめてくださいました。「地域の福祉を考えていくことは、途上国の福祉を考えていくことになる」と講義を締めくくりました。

私も一人の学生として講義を受けて、「日常の中に支え合いの関係があることが何故大事なのか」を深く考えさせられました。人は、困難な状況が自分の身に降りかかったときに初めてそれに気がつくが、本来、困難な状況は誰の身にも降り掛かるものである。ジョン・ロールズがこのような状況を「無知のヴェールthe weil of ignorance)」という概念で説明し正義についての議論を展開したが、私たちは、もし「無知のヴェール」の中にいるのであれば、合理的な利己心によって、日常から互いに助け合い、支えあることができるのかもしれない。

岡本さんにこのことを投げかけたら、「普段の暮らしの中で誰かに助けられた経験があるのなら、人は自然とそうする」と回答してくださいました。学生を含めて、私たちは地域での関係についてもう一度見つめ直す必要があるのではないか、そのことを深く考えさせられた講義でした。

岡本さん、素敵な講義をどうもありがとうございました。(Masa)

日本福祉大学は、持続可能な「ふくし社会」を創る人材を育成をします。