月別アーカイブ: 2015年6月

「現代福祉」コミュニティ創成×福祉〜参加のデザインによる地域ケア支援

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6月23日(火)、「現代福祉」(担当:吉村輝彦国際福祉開発学部)において、特定非営利活動法人岡崎まち育てセンター・りたの事務局次長の三矢勝司先生がのゲスト講師としてお見えになりました。

担当の吉村先生と三矢先生とは、99年からの仲ということで、始終和やかな雰囲気の中で、講義が行われました。

今日の講義は、「コミュニティ創成×福祉〜参加のデザインによる地域ケア支援」というテーマで、「参加のデザイン」という視点から、三矢先生がこれまで手掛けてきた事例を紹介する内容でした。

「中間支援の必要性を痛感」したことがきっかけで、現在のライフワークがカタチづくられていると話してくださいました。今日のテーマである「参加のデザイン」は、①「プロセスデザイン」、②「プログラムデザイン」、③「参加形態のデザイン」の要素からを組み合わせて設計されます。

特に、一番初めに紹介してくださった被災地仙台の、プレハブ応急仮設住宅「あすと長町」の事例では、仮説住宅の中に、どのようにコミュニティを創成して、発展していったのか、そして、その前提にある「グループ入居制度」の果たしたメカニズムについて、具体的な登場人物を挙げて、わかりやすく説明くださいました。

コミュニティの創生において、鍵となっていたのが、仮設住宅の中で内発的に育まれたり、ボランティア団体や企業の呼びかけで始まった「クラブ活動」でした。こういったインフォーマルな関係が豊かに築かれていたからこそ、その上に、まちづくり団体が生まれ、さらにそれらの団体の活動の中から、課題解決の取組が生まれていったことが鮮明に伝わってきました。このようなコミュニティの発達段階過程を⓪多様な移住者の集積→コミュニティの基礎固め→支援組織との協働実践→プラットフォーム形成→祭り、つながりの演出に整理した上で、ここに「参加のデザイン」があったと説明してくださいました。

(これらのプロセスを地域の人と伴走しながら一緒に作られてこられたからこそ、仮設住宅という住みづらい環境の中に、人と人との関係が豊かなコミュニティが創出されたのだと思いました。)

学生からは、コーディネータとしての顔も併せもつ三矢先生に「今、サークル活動で地域のいろいろな方とつながっていきたいと思っているのですが、どうすればうまくできるのか」といった質問があり、先生からは「まずは、その分野ですでに活動している人、や地域にすでにネットワークをもっているキーパーソンを発掘することが大事」とポイントをわかりやすく教えてくださいました。

最後に、「(地域の中にいろいろな声があるが)、自分の中に内なるビジョンが明確にあるから、それをカタチにすることができる。」とまっすぐなメッセージが届けられました。先生、どうもありがとうございました。

特定非営利活動法人岡崎まち育てセンター・りた

 

【地域研究プロジェクト】VCプロジェクト~社会福祉学部の学生たちが長野県辰野町でフィールドワークを行いました~

日本福祉大学では、地域貢献をテーマに「あんしん」「にぎわい」「つたえる」の3つの要素をコンセプトとして、正課科目「地域研究プロジェクト」を展開しています。この科目は経済学部と社会福祉学部の学生を対象に開講しており、現在9つのプロジェクトが展開されています。人の繋がりから地域活性化を目ざすボランティアコーディネートプロジェクト(通称:VCPJ)に所属する社会福祉学部の学生10人が、6月19・20日に長野県下伊那郡辰野町で開催された「ほたる祭り」「花街道整備」に同町内川島地区の住民や子どもたちと一緒に参加しました。

◆川島小学校の先生方や地域の皆さんの掛け声に気合十分!踊りがはじまりました

 日本福祉大学と辰野町・辰野高校は2007年に交流連携協定を締結しました。VCPJではこれまでに、高齢者生活実態調査や防災紙芝居の上演、川島地区で開催される横川峡もみじ祭りへの支援などを行ってきました。今回の企画は、多い年で一日に1万匹以上のゲンジボタルが乱舞する「第67回信州辰野ほたる祭り(場所:松尾峡・ほたる童謡公園など)」の開催期間内に実施される「たつのピッカリ踊り」や、翌日早朝に川島地域に向かうアクセス道路沿いに花を植栽する花街道整備に、地域住民や子どもたち参加するものです。昨年までは、辰野町の皆さんの協力を得て参加してきましたが、今年はそれに加えて、2015年4月から辰野町地域おこし協力隊に任命・赴任した村上康介さん(本学学生でVCPJ前リーダー)の支援を得て実施されました。
19日に行われた「たつのピッカリ踊り」は下辰野商店街で行われるもので、地区や学校・職場単位で「連」という団体を組織し商店街を踊り歩くもので、今年は26連、およそ1,300人が参加しました。学生たちは「川島子ども連」に加わり、「ほたる小唄」をはじめとする曲に合わせて踊り始めました。当初は子どもたちの振付を真似ながらぎこちない動きでしたが、数分もするうちに元気よく踊りだしました。しかしながら流れる曲はなかなか終わらず、長いもので15分近く続きます。最初は余裕を見せていましたが徐々に息も上がり、最後には疲れで手も上がらない学生の姿も。それを見た子どもたちに笑われる光景がみられました。途中から大粒の雨が降り出し、気温も急激に下がる悪天候になりましたが、学生たちはずぶ濡れになりながら最後まで踊りました。その後学生たちは、村上さんが住むコミュニティスペース「おいでにゃんしょ」に宿泊体験をしました。

  翌日の20日(日)早朝に花街道の整備を体験しました。この整備は川島地区で以前に行われ休眠していたものを、2007年に経済学部の後藤順久教授の呼びかけにより再開されたもので、この日も数百名の地域の方がアクセス道路沿いの各所で作業が行われました。この日植えられたのはドーム菊。11月初旬に同地区で実施される「横川峡もみじ祭」の期間中に満開を迎えるもので、訪れた人をおもてなしする意味合いを込めて選ばれました。学生たちは一ノ瀬と言われるエリアを担当し、雨が降りしきるなか、地域住民に植え方を教わりながら子どもたちとともに定植しました。参加した学生たちは、「2日間の活動は福祉とは無関係に見えるが、人が集まる機会を作ることで、共通の話題ができそれが繋がりになる。それも福祉だと考えている。両日とも雨だったが、思い出深いものになった。ドーム菊が満開になる頃にぜひ訪れたい」と感想を話しました。また、地域おこし協力隊の村上康介さんは、「普段、若者がいない地域に学生が来ることで、地域が元気になる。ドーム菊を定植している際に、地域の方から学生が来てくれたことを喜んでいる様子が伺えた。また、学生が“おいでなんしょ”に泊まりに来ると近所の人に伝えたところ、美味しいご飯とお酒を差し入れてくれました。地域を元気にするには若者の力が必要だと感じました」と語りました。

<辰野町地域おこし協力隊村上康介さんからの近況報告>

 現在、自宅をコミュニティスペースとして活用しています。そこで、文化体験や宿泊体験を実施しています。観光と移住の間の「試住」という考え方を提案していきたいと考えています。試しに住んでみることで、辰野をより知ってもらうことができます。また、町内案内をしながら、行く先々で地域住民や移住者から辰野での生活等の話をしてもらう「たつの暮らし体験プラン」を実施中です。辰野の一番の魅力は人のあたたかさだと住んでみて実感しました。これを多くの人に知ってもらえるよう、地域の人を巻き込みながら、活動していきます。

【地域研究プロジェクト】はんだプロジェクト〜パンのトラさんとチャリティパンを商品開発〜

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2015年6月8日(月)の6限、クラシティ半田の会議室で、はんだプロジェクトのメンバーが、商品開発にむけて、安城市と半田市で「パンのトラ」を経営されている株式会社トラムスコープの村瀬さんと加納さんと一緒にプロジェクト活動をしています。

昨年12月に、クラシティ半田で開催した市民参加型イベント「主役は君だ!〜知多半田駅前を100倍楽しむ冬 クラシティと駅前商店街〜」で、NPO法人エンドゴールさんと一緒に「パンのトラ」のパンを販売したことがきっかけで、今回の商品開発の連携が実を結びました。

学生たちは、事前打ち合わせでいただだいた課題を考えてきて報告しました。村瀬さんからは、最近のパンのトレンドを教えてもらい、それを踏まえてブレインストーミングを行いました。

秋から新たに加わる2年生も、一緒にプロジェクト活動を行いました。実家のある所在地の有名なパン屋の情報を共有したり、バイトの経験から突飛なアイディアをひねり出したりと、大活躍でした。「健康でありながらおいしい」というジャンルは、好感触でした。今後、どのようにまとまるのか楽しみです。

「地域とCSV」ワークショップ〜三方よしと地域の中小企業〜

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6月3日(水)、18:00〜日本福祉大学東海キャンパスにて、第1回「地域とCSV」ワークショップが開催されました。今回は、本学COC(知の拠点)事業の中の市民研究員制度で、市民研究員として地域の課題にとりくんでいる東海商工会議所の森洋司事務局長と日本福祉大学知多半島総合研究所の千頭先生、曲田先生、鈴木先生と、学生、職員併せて、8名が参加して、地域の企業とCSVをテーマに研究会を開催しました。

CSV(Creating Shared Value)とは、「共通価値の創造」と訳されるもので、企業がもっている経営資源を活用を社会課題の解決に活かすことで、「持続的な企業価値」の創造を行っていく経営戦略の一つとされています。

まず、鈴木健司経済学部准教授から、「ソーシャル・ビジネス、コミュニティ・ビジネス、CSR、CSVの概念整理」のテーマで研究報告が行われました。

その後、東海商工会議所の森洋司事務局長から「商工会議所におけるCSV経営 初めの一歩」というテーマで報告がありました。

近江商人の「三方よし」に代表されるように、昔から日本の企業は、CSVに取り組んでいたのではないか。その問題意識のもと、地域の中小企業の存在意義を「CSV」の概念を用いて浮き彫りにすることができないか。今回の研究会では、そのような議論の方向性が見いだされました。

参加した鈴木愛理さん(国際福祉開発学部4年)は、「これまでグローバル企業のCSVにばかり注目してきたが、今日のお話を聴いて、もっと地域に根差したCSVにも注目していきたい」と、卒業論文の作成に向けて刺激をもらっていたようです。

 

東海市の地域包括ケアシステムの構築に向けて。

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2015年6月3日(水)、東海市役所の地下会議室にて、「地域包括ケア100人会議」が開催されました。医療・福祉関係者だけでなく地域住民、行政職員など多様なメンバーが約160人が一堂にまりました。

いわゆる団塊の世代がすべて退職をして高齢者になる2025年問題に、今から対応していくために、政策として「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。「地域包括ケアシステム」とは、「団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度の名介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される体制」※1のことです。

この「地域ケア会議」は、この「地域包括ケアシステムの構築」にむけて、「多職種による個別事例の検討を通じ、高齢者の自立に資するケアプランにつなげていくとともに、 個別事例の検討を積み重ねることで、地域課題を発見し、新たな資源開発などにつなげていく」(※1:P46)ことを目的として開催されたものです。

この日は、まず日本福祉大学の地域ケア推進センターの奥田佑子研究員から、「東海市における介護保険の利用状況〜要支援者と高齢者に着目して」というテーマで、2015年の社会福祉制度改革の中で、制度のはざまに置かれ、制度に基づく社会サービスがうけられなくなる介護保険の要支援1,2にあたる人のサービス利用状況についてと、これから増えていく認知症高齢者の実態と介護保険の利用状況についての現状分析と、クロス集計をもちいた分析から導き出される課題について報告がありました。

報告によると、まず、介護保険利用者のうち約16%が予防給付を利用しており、その半数は解除がなければ外出が難しいというものでした。また、認知症初期の人も半数近くいるとのことでした。

次に、認知症高齢者の介護保険利用の特徴は、要介護1.2では7割、要介護3以降では8割以上の人が認知症であるとのことでした。とくに印象的であったのが、「一人暮らしで認知症の人に対応する支援も考えていかないといけない」とのことでした。

これらの難問をどう考えていくか。

次のパートでは、同じく日本福祉大学地域ケア推進センターで、社会福祉学部原田正樹准教授から、「東海市の地域包括ケアシステム今後の方向性について」というテーマで、今後どう対応していくのか、議論に向けた的確な情報提供と論点の整理が行われました。

と、その前に、みんなで背伸びをて、緊張をほぐしました。

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原田准教授によると、前提として「今回の介護保険の改正は、日本の社会保障制度全体を考えていく中で、考えていかないといけない。地域包括ケアシステムは、そういった背景からでてきたことを覚えておいていただきたい。」と、超高齢化、家族・地域社会の変容、非正規雇用の増加など雇用環境の変化などに対応した全世代型の「21世紀(2025年)日本モデル」の制度へ改革することが喫緊の課題とわかりやすく整理し、議論の足場をつくりました。

居住環境は、まで考えてこなかったが、今回ここが注目されている。

住まい、介護問題、医療とのつながり、生活支援、介護予防。地域包括ケアでは、これらの5つを考えていこうとするのが国が出している方針。

しかしながら、児童福祉、障碍者福祉、生活困窮者の自立支援などの「制度のはざま」の問題も考えていかないと10年後に使えないものになってしまうと、危惧していました。介護保険の改正で、公的な社会的サービスを受けられなくなる人や、生活困窮者の家族をどうみていくか、を課題としていました。

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また、「どういった範囲で地域包括ケア」を考えていくかが大事と、現在おおむね30分くらいで駆けつけられるエリア(中学校区域)とされている日常生活圏の設定が課題であるとしました。

そして、包括ケアシステムのゴールは、「1人暮らしで、認知症の、要介護2の人が地域で安心して暮らせる町をどう地域の中でつくっていくか、専門家だけでなく、ここにいるみなさんがしっかりと考えていかないといけない。」と論点を整理しました。

その後、どのようにこれらを議論していくのか、東海市の地域包括ケア推進会議の枠組みを説明した後に、集まった人でグループをつくり、議論の場が設けられました。

さまざまな背景をもつ方が、それぞれの立場から知恵をだし合うことで、東海市が掲げる地域包括ケアシステムのビジョンである「市民ひとりひとりのしあわせと、普通の暮らしをまもるために、医療と介護・福祉と地域住民がつながり、支え合うまちをつくる」は達成されのだということを実感した時間となりました。

【参考資料】

※1 地域づくりによる介護予防推進支援事業 第1回都道府県介護予防担当者・アドバイザー合同会議 資料2

【地域志向科目】「現代福祉」〜福祉×アート〜

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6月2日4限、「現代福祉」(担当:吉村輝彦先生)で、愛知県高浜市のやきものの里かわら美術館の学芸員の今泉岳大さんがゲスト講師で来てくださり、「アート×福祉の取り組み」というテーマで講義をしてくださいました。

今日のキーワードの「アール・ブリュット」は、「生の芸術」「加工されていない芸術」という意味です。

20世紀の芸術は、芸術家と呼ばれる人が芸術活動を行い、芸術のための芸術であったが、21世紀に入り、障害をもった人でも、犯罪を犯した人でも、表現したものを展示をする取り組みが見つめなおされて、2000年を越えたあたりから各地でおこってきたそうです。例えば、広島の鞆の津ミュージアム京都府亀岡市のみずのき美術館があるそうです。来年、2016年には、愛知県で「第16回障害者芸術・文化祭」も開催されることが決定されたそうです。

今泉さんからは、「人はだれでも、表現する文化を必要とする」とメッセージを届けてもらいました。人が豊かに暮らしていくために、表現することは必要なことであり、表現することを受け入れる社会があるからこそそれが実現できると考えると、私たちは「表現する」ことの意味をもっと深く考える必要があるのかもしれません。今日は、「アート×福祉」で私たちの暮らしを見つめる視点をまなびました。