【Uターン先輩紹介】岐阜県総合医療センター中村さん取材

子どもたちとその家族を支えるために「つなげる」

岐阜県岐阜市出身の中村仁隆さん。社会福祉学部を2004年に卒業後、地元岐阜市で地域包括支援センターの立ち上げに関わられた後に、社会福祉協議会で地域づくりの現場を経験。現在は、地方独立行政法人岐阜県総合医療センター小児科の医療ソーシャルワーカーを経て、同法人が2016年3月に開設した「重症心身障がい児施設すこやか」で児童発達支援管理責任者として活躍されています。
━━職場ではどんな仕事をしていますか?
入退所されるお子さんとその家族が望まれる暮らしを実現するための仕事をしています。施設では、人工呼吸器が必要であったり、全く身体が動かせないなど、障がいが重いお子さんがいます。その子たちとその家族がいかに安心して生活できるか。そのために、相談しながら制度や地域の社会資源を活用して、経済面や生活面、住環境を整えています。
━━現在の仕事の役割はどんなことですか?
私の役目は、いかにお子さんとそのご家族を地域と「つなげる」か、だと思っています。院内で医師や看護師、介護福祉士との連携はもちろんですが、退所されるお子さんや家族が生活していくのはあくまで地域。そのため、地域で働く医師や看護師などの専門スタッフだけでなく、市役所の職員や保健師、時には救急隊や電力会社もまきこんで支援を考えていきます。関わる多くの方を「点」ではなく、「線」でつないでいくことで、情報共有が徹底でき、安心して地域で生活できていきます。
   
━━仕事におけるやりがいは何ですか?
子どもたちの成長を見ていけることは楽しいです。ただ、自分の関わりが、子どもたちのこれから長く続く人生に影響すると考えると、仕事は正直に言うとしんどいです。でも、周りを巻き込んでいくと、みんな子どものことだと熱くなります。本当に一生懸命なんです。小児支援の分野はまだまだ未開拓でこれからです。だからこそ、自分が思い描くことを形にしていけることはとても魅力的ですし、それを頑張っている方たちと一緒に創っていけることほど楽しいことはないと感じています。
━━地元の好きなところは?
家族や友人、自分を育ててくれた人、支えてくれた人たちがいることです。さらに、歴史や文化が深く面白い。最初は地元が嫌いだったんです。特に20代の初めは、近くに名古屋という都会があるし、地元から出ることしか頭にありませんでした。働き出してしばらくして、地元でまちづくりをしている人たちに出会い、こんな人たちが岐阜にいるんだなと。そこから、岐阜の歴史や文化について調べるようになり、知れば知るほど、岐阜が好きになっていました。今の職場は、岐阜の中でも私が生まれ育った地域にあります。これからはもっとこの地域に恩返しができたらと思っています。
   
━━地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。
学生のうちに、いろんなことに挑戦して、いろんな職場を見て、一人でも多くの方と関わって、視野を広く持てるようになって欲しいです。私は、岐阜を出ることしか考えていなかった頃、全く地域の魅力が見えなくなっていたので。視野が狭かったですね。仕事は就職してから覚えられます。勉強も仕事をしてから必要を感じて学んでいくことの方が絶対に多いですし、自分が必要とするので勉強することも苦じゃないです。逆に、勉強ばかりして頭でっかちな人ほど、理想と現実のギャップにつまずいています。だからこそ、機会を見つけて、仕事の現場をたくさん見て出会って欲しいです。そして、専門職を目指して国家試験に挑戦される方は、必ず合格して下さい。合格して、初めて専門職として認められます。

〜インタビュアーの感想〜
目指している保育士の仕事の幅の広がりが知れたことは良かったですが、保育士以外の仕事について詳しく知れたことも大きかったです。仕事同士のつながりも知れて、自分が保育士として働く時に、どんな人とつながるのかがわかりました。地元を活性化させたい、地元を愛せる方に憧れます。
子ども発達学部子ども発達学科 伊藤つかさ
今まで進路について1つしか考えていませんでしたが、もっと活躍できる場所や職種があることが知れて、今後の選択肢が広がりました。また、初めてのことを創っていく仕事を面白いと感じた自分にも気づきました。わからないことだらけは大変だけど面白そうです。仕事についてもっとたくさん調べていこうと思います。
子ども発達学部子ども発達学科 高橋伶奈