事業所取材企画、児童養護施設合掌苑訪問!


岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブック作成企画の取材がスタートしました。今回は、岐阜県郡上市にある社会福祉法人合掌苑に伺いました。昭和25年に当時の住職岡本幹翁氏が北辰寺の建物を利用して里親登録したことから始まり、「私は仕合せです」を創立からの合言葉にして、現在まで地域と共に歩んでこられています。
今回取材のインタビュワーを務めるのは、社会福祉学部3年の戸谷葵さんと松山詩歩さんです。
取材は、合掌苑の成澤武史(なりさわ たけし)施設長のお話から始まりました。戦争孤児支援から始まった児童養護施設。子どもたちを受け入れてくれる地域の力があったから続いてきたという成り立ちや、子どもたちや施設を取り巻く環境の変化、それとともに、施設に求められる役割の変化について伺いました。
 
自分の存在意義を感じられないでいる目の前の子どもたちに、その生い立ちや背景までを受け止めて「ここにいていい」と感じてもらうこと。そして、子どもたちの長い人生の中でも、基礎となる大切な時期に関わっているのだという意識を持って働いていると語られた成澤さんのお話に、インタビュワーの2人も、真剣に耳を傾けます。
養護施設が、より家庭に近い小規模な形に変わる流れがある中、どのような形態で子どもを見るかではなく、どういった想いをもつ職員が子どもと関わるのかを大切にしたいというお話から、本当に、「人」を尊重していらっしゃる姿勢が伝わります。
次に、現場を担当されている長棟李奈(ながむね りな)さんに案内いただき、施設内を見学に回りました。最初に子どもたちが日中集まる部屋に向かうと、初めての訪問者に少し照れながらも、大切にしているカードやぬいぐるみを笑顔で見せに来てくれました。
 
子どもたちの生活スペースや、大舎の食堂、小規模型の居住場所など、施設内全体を案内いただきながら、子どもたちの日常や、職員さんの仕事内容、動きなどを丁寧に説明いただいたことで、働くイメージを描くことができます。
施設見学の後は、成澤さんと長棟さんに施設や仕事についてインタビューに答えていただきました。
――子どもたちとの関係を作る上で大切にされていることは?
こちらからの挨拶と声かけですね。子どもたちとどんなに喧嘩をしても、毎日の挨拶と声かけは絶対します。それをせずに、こちらから距離を置いてしまうと、子どもたちとの関係は作れません。声をかけて子どもに無視をされたり、嫌なことを返されることもありますが、その反応を見ていくことがこの仕事では大切です。自分のどんな投げかけに子どもがどう反応するのか、それを一人一人見ながら接しています。
 
――卒業後、すぐに現場に入って、どうやって仕事を覚えていけばいいですか?
自分に合っていないやり方を無理やりやろうとしても、自分が辛くなってしまいます。子どもとの接し方に正解はないので、他の人のやり方を見ながら、自分なりのやり方をつくっていって欲しいです。ベテランには、ベテランの良さがあるように、新人には新人の良さがあります。職員にはそれぞれ違った良さがあり、その違いが、子どもたちにとっては、その時に頼れる相手を選べる選択肢になります。子どもたちが、いろんな自分を見せられる環境には、いろんな職員がいることが大切です。対応の失敗はあったとしても、相手も人間なので、関係の修復ができます。それを繰り返すことで絆も深まっていくので、安心して働いてください。
――どんなことが仕事に活かせますか
今の自分たちの生活の経験や、これまでの生い立ちの全てを活かすことができる仕事だと思います。例えば、一人暮らしをしていて、電化製品をどのように使ったら、どれだけ電気代がかかるかなど。この仕事は、仕事ではあるのだけど、単なる仕事ではないというか、他の仕事では味わえないやりがいを感じることができると思います。また、自分たちが何をすれば子どもたちが成長できるか、子どもたちが成長するために、自分たちがどう成長していくのか、この、「子どもたちを思う強い気持ち」が、この仕事に必要です。
 
――どんな人を求めていますか?
先ほどもお話ししましたが、子どもたちを思う気持ちを持っている人です。この施設で働いている職員は、児童指導員や家庭支援、里親支援、心理担当や栄養士など、それぞれに役割は違いますが、子どもたちのことを思う気持ちは変わりません。休みの日であっても、子どもたちのことを気にかけています。お互いに情報共有しながら全員でチームになって子どもたちを支えています。その一員になって、一緒に働きたいと思ってくれる人と、こちらも一緒に働きたいです。また、児童福祉分野は、時代とともに変わり、これからさらに新しい方向へ動き出しています。そこを一緒に創っていける、創っていきたいという人を求めています。
お忙しいなか、暖かく丁寧に対応いただいた合掌苑の皆様、ありがとうございました。
事業所の取材は今後も続きます。関心がある方は、gifuinfo@ml.n-fukushi.ac.jp星野まで連絡をどうぞ。