【卒業生取材】大野慈童園を訪問

ひとりひとりと向き合い、子どもたちの安心・安全をつくる

卒業生の活躍を取材する企画。今回は岐阜県岐阜市出身の村橋諒(むらはしりょう)さん[2008年卒]と郡上市出身の本田智佳代(ほんだちかよ)さん[2016年卒]にお話を伺いました。お二人は、美浜キャンパスの経済学部と社会福祉学部で学び、現在は岐阜県揖斐郡大野町にある社会福祉法人擁童協会の児童養護施設「大野慈童園」で働かれています。インタビュアーは、将来、児童福祉分野の仕事を目指している社会福祉学部1年の中村優里さんと藤森夏希さんです。

━━お二人の日々のお仕事を教えてください

本田さん|私は、学童ホームと呼ばれるユニット制の施設を担当していて、子どもたちを起こすことから1日が始まります。ご飯を食べさせて、学校へ送りだして、帰ってきたら宿題を見る。お母さんみたいな仕事ですね。学校のPTAへの参加や、部活動の保護者会の対応も私の役目です。

村橋さん|私も基本的には同じ。生活のサポートですね。ただ、私の職場は分園で一軒家なので、調理もしています。時々子どもたちも手伝ってくれて、一緒につくることもあります。あとは、子どもの金銭管理です。お小遣いを計画的にどう使っていくかを子どもと話し合って、お金の大切さを知ってもらいます。

 

━━職場ではどのような役割を担っていらっしゃいますか?

村橋さん|役割で言うと父親的な立場です。普段は子どもたちと一緒に楽しく遊びますが、時には厳しく、子どもたちをまとめることもしています。後は、職員間では中堅になるので、先輩と後輩をつなぐ役割ですね。職員同士の関係は、子どもたちにも影響するので、皆が働きやすいよう心がけています。

本田さん|子どもたちからすると、話しやすい姉ですね。ホームの中では年齢が一番上なので。子どもたちとの関係を作りながら、子どもたちがどうしたら暮らしやすいかを考え、生活環境を良くしていくことが、私の役割です。

村橋さん|それから、子どもが虐待で犠牲になるニュースを目にするたび、本当に胸が痛くなります。でも、自分たちの仕事は、この子たちを支える役割があるのだと思うと、もっと頑張ろうという気持ちになります。

━━この仕事をしてから、どのような能力が身につきましたか?

村橋さん|物事を冷静に見ることです。目の前の状況を客観的に判断して、自分が何をすればいいのかを考えて行動できるようになりました。失敗もたくさんありましたね。子どもに半年間、口をきいてもらえなかったこともあります。いい教訓になりましたね。

本田さん|私は、子どもの感情を読み取る力です。勉強ができずぐずっていても、一人ひとりその感情は違います。その子なりの感情を理解して関わっていくことで、やっと、子どもたちとの関係ができていきます。毎日毎日子どもたちとぶつかり、目の前の子に何ができるのかを考え続けて1年。ようやく少し身についてきたと感じています。

村橋さん|ここにくる子どもたちは、人を信用していない子が多いです。そのため、関係性は、そう簡単には築けません。一緒に過ごすなかで、少しずつ少しずつ積み上げていくことしかできないです。そのことを理解しているから、新しい子が来ても、じっくり時間をかけて、その子との関係づくりに向き合えます。

 

━━どうしてこちらの施設で働こうと思ったのですか?

本田さん|見学に来た時の印象です。職員も子どもたちも穏やかで、施設全体が明るい印象でした。もともと児童養護施設を目指していたので、岐阜県や愛知県の施設をいくつか見学しに行きました。そのなかで、「ここで働きたい」と感じましたね。また、岐阜県のおだやかで温かい土地柄や人柄が好きです。

村橋さん|岐阜県は住み慣れた土地で、愛着があることが大きいですね。そのため、岐阜県で暮らすことしか考えていなかったです。今の職場は、私も見学に来て決めました。職員同士の関係がとてもよく、本当に困ったときに頼れる人たちが周りにいます。だから子どもたちも落ち着いていると感じます

━━働いてから感じた地域の魅力はありますか?

村橋さん|子どもたちのことを気にかけてくれる方が多いことです。公園に遊びに行くと、地域の方が子どもたちに声をかけたり、私たちに普段の子どもたちの様子を教えてくれます。小学校の校長先生も施設を訪ねてきてくれます。また、私は地域で子どもにサッカーを教えていますが、そこの人たちも良い方ばかりですね。

本田さん|養護施設への理解があります。私が担当している子どもの部活や少年団の親御さんたちも、施設や仕事のことを解っていただいていて、いつも助けてもらっています。子どもの主治医も長年ずっと関わってくれているので安心できますし、地域に子どもたちを見守ってくれる方が多いことは魅力ですね。

 

このお仕事の魅力ややりがいはどのようなことですか?

本田さん|子どもとの関係ができた時は、やっててよかったって思います。子どもが自分のおやつをくれたり、おこづかいでジュースを買ってきたりしてくれます。頑張ってよかったなって感じますね。

村橋さん|自分たちで支援を考えてやっていけることはやりがいです。別の施設だと対応マニュアルのようなものがあるとこもありますが、ここにはなくて、子どもたちの事を考え、自分たちで関わりを考えて支援をしています。形式に沿った支援ではないので、考える力も身につきますし、何より一人一人の事を考えて、その子に合った支援を納得してできることはやりがいですね。

本田さん|子どもたちの成長に関われることもやりがいです。子どもたちができたことを見逃さずに声をかけて認めていくと、子どもたちの笑顔につながります。

村橋さん|確かに、それは私も嬉しいですね。先日も、小学校の子が、こちらが何も言わなくても自分一人で宿題をやり遂げたのです。その子にとって、1回でもできたことは大きいことで、一人でやっていけるって自信を持ってくれました。子どもたちの小さな成長を見つけて、そこを伸ばしていくこともこの仕事の魅力です。

最後に地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

本田さん|岐阜県は、児童関係の施設もいいところが沢山あります。まずは調べてみて、そして、自分の目で見てみてください。現場に行くと、肌で感じられることがたくさんあります。職場の雰囲気は、行ってみないことには決してわかりません。

村橋さん|地元で働く自分なりの理由をしっかりと考えてほしいです。なんとなく地元で働くことを選ぶのではなく、就職した後の生活を考えてみてください。日常の生活や、通勤や休日の過ごし方など、「こんなはずじゃなかった」が少なると思います。働き始めの頃は、仕事でいっぱいいっぱいいになります。なので、それ以外のことを事前に考えておくと、心に余裕をもった生活を送れますよ。

〜インタビュアーの感想〜

養護施設に行ったのが初めてだったため良い経験になりました。取材をして印象に残ったのが「子ども達との関係性」を大切にされていることです。誰でも初対面の人に心を開くことは難しいし、子どもによって関係性の築き方も違ってくるから積み重ねが大切だと思います。子どもの気持ちを読み取ることは、大学の講義内では学ぶことができず、実際に子どもと関わってしか得ることができない力であると感じました。

社会福祉学部社会福祉学科 中村優里

講義やテレビ、新聞などで児童養護施設のことについて見たり聞いたりしたことはありましたが、実際に現場を見るのは初めてでした。今までは大まかな仕事内容しか理解していませんでしたが、仕事内容や経験談などのお話しを現場で働く方から直接伺ったことにより、理解を深めることができました。また、施設の様子を見学したことで、肌で雰囲気を感じることができ、とても新鮮で貴重な経験になりました。この経験を将来に繋げていきたいと思います。

社会福祉学部社会福祉学科 藤森夏希