【卒業生取材】中濃特別支援学校を訪問!

子どもたちのこれまでの背景を知り、立派に社会へ送り出す

岐阜県で活躍する卒業生を取材する企画第2弾も今回が最終回。ラストは、岐阜県立中濃特別支援学校で働かれている林哲平(はやし てっぺい)さん[2016年卒]を訪問しました。林さんは、子ども発達学部を卒業後、現役で教員採用試験に合格され、現在の職場に配属。お父様もお母様も日本福祉大学の卒業生でいらっしゃいます。インタビュアーは、子ども発達学部4年の髙木歩水さん、同じく子ども発達学部の3年生、有本晶香さん、町野愛花さんがつとめます。

━━現在はどのようなお仕事をされていますか?

新任1年目からこれまで、高等部の生徒を受け持っています。現在受け持っている生徒は、軽度の知的障がいがある生徒です。そのため、コミュニケーションや⽂字を書いたり、計算をしたりすることなどに苦手意識や課題のある生徒が多いです。今年は1年生の担任と、進路指導も担当しています。子どもたちに勉強を教えるだけではなく、地域の企業様と、職場体験の企画や、卒業生の定着支援にも取り組んでいます。

━━この仕事の役割はどのように感じていらっしゃいますか?

3 年間で、⼦どもたちに社会で⾃⽴して生活していくための⼒をつけさせることです。

高等部の⽣徒たちは、ほとんどが卒業後すぐに社会⼈として働きます。そのため、社会に出て、⼦どもたち⾃⾝が困らないように、指導していくことが私の役割の⼀つです。

━━教員の仕事は大変だと世間のイメージがありますが、実際はどうですか?

確かに、時には帰りが遅くなり大変なこともあります。でもそれは、他の仕事も同じだと思います。そんな時は、「子どもたちのために働いている」と思うと、大変な気持ちもやわらぎ、頑張ろうという気持ちになれます。

 

━━大学時代の経験で役立ったことは何ですか?

座学だけではなく、体験して学んだことです。例えば、⼤学時代に飲⾷店でアルバイトをしていたのですが、そこで学んだ⾷品衛⽣管理の知識は⼦どもたちの調理実習や作業学習の指導をする際に役⽴ちました。また、⼤きいのは「⾔葉」です。⼤学での⽣活はもちろんですが、サークルやアルバイトを通じて、幅広い世代の多くの⽅と関わってきました。その中で、⾃分でも気づかないうちに⾃分が使う⾔葉の種類が増えていました。教師の仕事は、伝えること。この仕事に、⾔葉というのはとても大切なツールになるため、⾝についた⾔葉の多さは役⽴っています。

━━この仕事をしてから、どのような力が身につきましたか?

それぞれの人に合わせた伝え方ができるようになってきました。教師1年目は、なかなか、自分が伝えたいことが生徒に伝わっていないと感じることがありました。そこで、自分よりキャリアの長い先生のやり方を、とにかく真似てみることから始めてみました。すると、伝わることも多くなったのですが、同じことを言っても、生徒たちへの響き方が先輩と全く違うと気づいたのです。それから、自分なりの伝え方を色々と試しながら、徐々に相手に合わせた対応ができるようになりました。

━━教師をする上で大切にされていることはなんですか?

常に一人の大人として毅然とした態度で生徒と関わることです。子どもたちは、大人のことをとてもよく見ています。そのため、当たり前なのですが、相手に障がいがあるからという接し方ではなく、社会に出ていく一人の人間として接しています。

 

━━他にも大切にされていることや意識していることはありますか?

目の前の状態だけを見て、頭ごなしに指導しないことは意識しています。子どもたちは、自己肯定感が低い傾向があります。そのため、接する際は、どうして自己肯定感が低くなったのか、その背景にどんな体験や想いがあるのかを見るようにしています。問題となる行動も同じで、その行動にいたる背景までしっかり理解し、必要なことを指導しています。

━━この仕事のやりがいはどのようなことですか?

生徒の成長間近で見ることができることです。昨年初めて卒業生を送り出しました。日々生徒と向き合う中、大変なことも少なくありません。でも、卒業して行く姿を見た時に、素直にやってきてよかったと思いました。また、卒業生の職場を訪問して、企業の方と情報交換を行います。その時に、卒業生が話しかけてくれたり、元気な姿を見せてくれると、自分も頑張ろうと思えます。

━━どうして岐阜で働こうと思ったのですか?

岐阜は自分の故郷であり、地元に貢献したいと思ったからです。というのは建前で、1番の理由は、「岐阜の土地」が好きだからです。家族、友人、地域の方など、岐阜には自分とのつながりがあります。そのつながりの中で働き、生活したいと思っていました。実際に岐阜へ戻ってくると、同僚や先輩も岐阜の方がほとんどで、人のつながりの強さを感じます。温かい人が多いので、人間関係はつくりやすいです。

 

━━働いてから感じた岐阜の魅力はありますか?

自然ですね。学校の近くにも山があり、生徒たちと一緒に授業の一環で登山をします。子どもたちが自然の中で、都会では味わえないような良い刺激を受けながら成長していく姿を見ると、この土地はいい場所だと感じます。

━━今、目指している教師像を教えてください?

もっと⼀⼈ひとりによりそった⽀援ができるようになりたいです。それは、⽣徒だけではなく、周りの教員や外部の⼈なども含めて、その⼈その⼈の⼒になり、頼られる存在でありたいと思います。そして、⾃分がパイプ役となって、周りを調整しながら、皆をつないでいける姿を⽬指しています。

最後に地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

26年間、岐阜で暮らしてきてあらためて感じるのは、過ごしやすい良い地域だということです。地元愛が強い人が多く、周りの先生も保護者の方も皆が温かいです。そのため、生徒たちものびのびと成長しています。ぜひ、岐阜で一緒に働きましょう。

~インタビュアーの感想~

自分がなぜ岐阜県で特別支援学校の先生になりたいのか、どんな教員になりたいのか改めて考えるいい機会になりました。特に印象的だったのは、コミュニケーション能力についてです。子どもたちに関わるときにはもちろん、その子どもたちに関わる周りの大人、支援者の人たちと関わるときにもコミュニケーションが重要であることが分かりました。子どもたちを支えているのは教師だけではなく、保護者や地域の人々そして岐阜という環境が深く関わっていることが実感できたインタビューでした。

子ども発達学部心理臨床学科 町野 愛花

自分自身がなぜ岐阜に戻り教員をしたいのかがわかりました。一緒に働く職場の方も岐阜県の出身者が多く、“地元愛”が強い環境が働きやすいのだと感じました。それは、みなさんがこの土地をどうにか活かして授業ができないか、この土地の良さを伝えたいというベクトルが同じだからこそだと思います。私も来年から岐阜県で教員として働くことを目指していますが、インタビューを通じて、その意欲が湧いてきました。

子ども発達学部子ども発達学科 髙木 歩水

今回の取材を通じて、岐阜県の良い所は人のつながりだということを感じました。特別支援学校で仕事をする際、様々な人との関係を築くことが大切になります。子どもたちや保護者の方々、そして、同じ職場の教員の方、他にも、色々な人たちと関係を築いていることがわかりました。特に、同じ職場の方が、地元愛に溢れ、温かい人が多いということを伺い、私もそんな素敵な職場で働きたいと思いました。

子ども発達学部心理臨床学科 有本 晶香