人間を大切にするしごと-特別支援教育時代の教師・子ども論

2012年1月18日

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副学長 近藤直子

人間を大切にするしごと
三木 裕和
全国障害者問題研究会

 
 
① 心に残った理由
その子の気持ちになる~自分の気持ちを表現しにくい、重症心身障害児の教育に長年取り組んできた、兵庫県の特別支援学校教員(当時)三木さんの重症心身障害児、自閉症児との教育実践の集大成です。
特別支援教育が強調されるようになってから、学生たちの関心は、知的障害の無い発達障害に向かっているようで、一貫して知的障害のある子どもと関わってきた私は、少し残念な気持ちになっています。
何もできないように見える「寝たきり」の重症心身障害児の中に秘められた気持ちに共感する教員集団の、子どもを見る目、子どもの気持ちを感じるこころが、一杯ちりばめられている本です。保育士・教師を目指す学生たちには、障害が「重い」と言われる子どもたちの可能性と、可能性を具体化する実践の素晴らしさに触れてほしいと願っています。
② 特に心に残ったところ~希望で導く科学
重症心身障害児の実践において、看護師と教師の子どもの見方の違いに触れて、子どもに期待する教師の思い「私たちの仕事は希望で導く科学なんです」と言い切るところです。
③ 各章に「おまけ」がついています。
おまけは得した気持ちになるから「おまけ」。教師の本音に触れて得した気持ちになれます。重症心身障害児と関わっている教師は、一様に自然の営みや変化を大切にしていますが、三木さんはそれだけでなく、人と人のつながりを大切にしています。
障害が重いと何もできないように見えるけれど、実は人々をつなぐ大きな力をもつ人なのだということを私は思っていますが、三木さんも同じような思いをお持ちだと感じることができます。
ちなみに三木さんは、現在は、定年を前に特別支援学校教員から、鳥取大学の先生に転身され、大学生たちと新たなつながりを築き始めています。

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