月別アーカイブ: 2014年5月

さよなら国立競技場

5月25日(日)に現国立競技場最後の公式スポーツ試合が終了しました。
ラグビーのアジア5カ国対抗2014、日本対香港戦。
日本が49対8で勝利して、見事に2015年のラグビーワールドカップの出場権を獲得しました。
この後は月末の、SAYONARA 国立競技場 FINAL WEEK JAPAN NIGHT等のコンサートが終了すると、いよいよ7月からの解体工事を待つだけということになります。
国立競技場1○
国立競技場明治公園側
国立競技場が建て替えられるのは、2020年の東京オリンピック開催のためともっぱら言われるのですが、正確には最後の公式試合となったラグビーのため。
オリンピックよりも1年早く2019年に開催される、ラグビーワールドカップ2019のメイン会場に新国立競技場を使用するということで、日本はこの大会の招致を勝ち取ったのです。
http://jp.rugbyworldcup.com/rugbyworldcup2019/

7月から今のスタジアムは解体工事に入り、2019年に完成予定。
オリンピックの1年前、ラグビーワールドカップまでには完成させるという計画です。

もう今週からは最後のコンサート準備のために一般の人は入ることができなくなりましたが、先週までは時々見学ツアーなども開催されていたようです。
もっとも我々近隣のものは、有料試合で入場規制がかからない日は通り抜け自由なので、普段の通勤経路でこの中を通っていましたけどね。
国立競技場千駄ヶ谷門遠景
もう見ることができなくなる施設でもありますので、中をちょっとだけご紹介。

まず何といっても、スタンドの正面の入り口の御影石の壁。
東京オリンピック金メダリストの名前がすべて刻まれた銘板があります。
国立競技場東京オリンピック優勝者5
国立競技場東京オリンピック優勝者6
重量挙げのフェザー級のところには、三宅義信選手の名前がありますね。
国立競技場東京オリンピック優勝者7
1964年の東京オリンピックから正式種目になった柔道では、4階級のうち3階級で日本選手が金メダルでした。 無差別級はオランダのアントン・へーシング選手が金メダルだったのでした。
国立競技場東京オリンピック優勝者4
体操は、この頃は「体操ニッポン」と言われていた頃ですね。
国立競技場東京オリンピック優勝者9
女子バレーボールは、「東洋の魔女」と言われたほどの強さ。
国立競技場東京オリンピック優勝者8
レスリングはフリースタイルもグレコローマンも、軽量級は日本選手が大活躍。
この他にもボクシングの桜井選手や、マラソンのアベベ選手、女子体操のチャフラフスカ選手の名前などが刻まれています。

メインスタジアムに金メダリストの名前を永遠に残すという戦前からのしきたりにのっとって、この銘板が設置されたのだそうです。
でも、同時に開催されたはずのパラリンピックの優勝者の名前は見当たらないのです。
2020年は、東京オリンピック・パラリンピックと2つが一体の大会。
新しくできる新国立競技場には、オリンピックの優勝者と共に、パラリンピックの優勝者の名前もきちんと刻み込まれて欲しいと思います。

国立競技場銅像2
この他、スポーツにちなんだ貴重な芸術作品も多く存在します。
この作品たちは新国立競技場にまた飾られるのでしょうかね?

さて、この国立競技場の解体・新設工事に伴って、東京オフィスの入る日本青年館も来年4月から取り壊されることになっています。
そのため、現在新たなオフィスの場所を探している最中。
新しい場所が決まったら、またここでお知らせいたします。

女性の社会進出のためにダイバシティ・マネジメントが重要

5月18日(日)に、日本福祉大学千葉県地域同窓会が、千葉市のバーディーホテルで開催されました。
文化講演会では、社会福祉学部の後藤澄江教授が「日本女性の社会進出の現状 -行政による男女共同参画と企業によるダイバシティ・マネジメント」と題して講演。
DSC04235
DSC04238
約30名の卒業生の方が熱心に聞き入りました。

アベノミクスの3本の矢でも「成長戦略」として「女性が輝く日本」が位置付けられ、女性の労働力活用が推奨されています。
これまで人権の側面から男女の平等が論じられてきましたが、社会の成長にとっても女性の社会進出が重視されているのが近年加わった新しい動き。
女性が労働に従事するようになると、子どもを産まなくなって少子化が加速するのではないかという意見もまだ見られるのですが、OECD24か国の統計によれば、女性の労働参加率が高く、子育て支援策を充実させてきた国は合計特殊出生率が高いというデータが出ています。
実際に、女性の労働参加率が高くかつ合計特殊出生率が高いという国が、OECDの中でも多数派を占めるようになってきています。
しかし、日本はその二つの側面とも低いという、世界の先進国の中でも珍しい国。
DSC04241
DSC04242
そうした中で、男女共同参画基本計画では、指導的地位の女性の割合を2020年には30%することを目標にしています。
また、アベノミクスの成長戦略の一角を占める女性の労働力化については、2020年の25歳から44歳の女性就業比率を73%に引き上げる(2012年は68%)ことが国の政策として掲げられました。
一方、2020年の第一子出産前後の女性の継続就業率を55%にする(2010年は38%)という政策も同時に掲げられています。
DSC04243
つまり女性の社会参加のためには、出産前後の就業支援が欠かせないということ。
その問題解消のために、待機児童対策も実施されるなど、日本は枠を設けて女性の社会進出を促進するという基盤整備には取り組んできました。
最近は複合的困難を抱えた女性への支援も重視されるようになっています。

これからの女性進出にとってさらに大事なことは、単純に「やってあげる」支援ではなく、その人ができることを見つけてそれを取り組めるようにしていく支援、多様性と「違い」を尊重して、その「違い」に関わらず能力を最大限に発揮できるような支援が求められます。
社会福祉や保育は女性が多い職場でしたから、逆に男性の視点を取り入れることでそれまでの弱点の改善ポイントが見えてくるかもしれません。
こうしたダイバシティの視点を取り入れてパフォーマンスが向上した事例は数多く、今後はダイバシティを上手にマネジメントできる環境やスキルの提供が重要であるとのお話がありました。

後藤教授の講演の後は、総会と懇親会。
約30名の参加者の方々のお仕事は、それこそ多様な社会福祉に関わるお仕事。
それぞれの職場の近況を情報交換して、多様な職場環境の「違い」を学ぶ一日となりました。
DSC04249

「老人漂流社会」といわれる中セーフティーネットの絆が重要

好天に恵まれた5月9日(土)の午後、日本福祉大学神奈川県地域同窓会の総会と公開セミナーが開催されました。
総会では神奈川県地域同窓会の片倉会長から同窓会の活動報告があり、今年度も通信教育部学生との懇談・交流会を実施することなどの活動方針が確認されました。

活動報告を行う神奈川県地域同窓会の片倉会長

活動報告を行う神奈川県地域同窓会の片倉会長

引き続き開催された公開セミナーでは、「老人漂流社会~終の棲家と絆を求めて」というテーマで、NHK大型企画開発センター チーフプロデューサーの板垣淑子さんが講演
100名を超える同窓生や地域の方々がそのお話に聞き入りました。
現在、単身で暮らす高齢者の40%は年収100万円以下。2013年の統計では、東京23区の孤立死の遺体のうち65歳以上の人が5,000人にも上るという実態がこの日のお話のスタートでした。
DSC04160
ファイナンシャルプランナーの方によれば、要介護3程度で自宅で自立して暮らそうと思えば、一月に20万円程度の収入が必要といいます。
ということは一人暮らしの高齢者の方の4割以上は、自宅で暮らせる経済的余裕がないということになります。 そうした方々が生活のために切り詰める経費が医療と介護。
それまでごく当たり前の生活をしてきた人が、一度体調を崩すとそのまま孤独死というケースも珍しくないのだそうです。
しかも東京都の場合、血縁者が亡くなった人について身元を証明しなければ身元不明の無縁仏となるそうです。
ここには、人の絆、地域のセーフティーネットが崩れてしまった実態が見えてきます。
日本の社会福祉は申請主義なので、声が出せない、出すのを遠慮してしまう人は社会福祉のサービスを受けられないというケースが残念ながらよくあるのです。

講演する板垣さん

講演する板垣さん

一人暮らしの高齢者の方に取材をすると、「迷惑をかけて申し訳ない」という声をよく聞くそうです。
しかし、年をとって仕事を引退して年金で生活をしていくことは、「社会の迷惑」なんでしょうか?
こうした高齢者の方にも社会に参加していただいたり、困ったときは必要な支援が得られるようなシステムが求められているのではないかと板垣さんはお話になりました。

地域に住む方のコミュニティ再生のヒントとして、板垣さんはあるURの団地の例を紹介されました。
住民の方々がそれぞれの役割を持って、各自が持っている能力を活かして様々な団地内での企画を進めている例があるそうで、NHKの番組でもその内容を報告したところ大きな反響があったそうです。
この他にも人と人との繋がりができることが、生きる力につながる例を放送したところ、多くの社会福祉関係者の方々から、そうした繋がりを作れる力になりたいという声が寄せられたそうです。
自分のやれることを見つけて繋がりをつけることが、孤立死の防止に大きくつながることが取材を通じて明らかになってきたこととのことで、今後もNHKの番組でこうしたテーマを取り上げていくことをご紹介いただきました。
また、困難を抱えた人からの申請を待つだけでなく、アウトリーチの手法を活用して、地域の中で困難を抱えていても声を出せない人を発見し、地域の資源と結び付けていくことの大事さが改めて明らかとなりました。
DSC04158

NHKでは現在、火曜日の午後10時から「サイレントプア」という「コミュニティーソーシャルワーカー」の主人公の活動を描くドラマが放送されています。そこでは、地域の声にならない声を聞き、地域で困難を解決していくネットワークづくりに奔走する主人公(主演は深田恭子さん)の姿が紹介されています。
NHKの意欲的な社会福祉についての取材には大いに期待したいところ。
参加者の方々からは、今回の講演は問題の深刻さだけでなく、解決のための可能性を考えるきっかけとなったと共感の声が多く寄せられていました。