月別アーカイブ: 2014年7月

2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて大学間連携協定を締結

2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと6年。
メイン会場の国立競技場も改修工事がいよいよ始まって、その準備が進められようとしています。
20130129東京オリンピック招致バッジ

56年ぶりに日本で開催されるオリンピック・パラリンピックには、大学も様々な形で関わることが期待されています。
多くの大学がオリンピック・パラリンピックの機運を盛り上げ、オリンピック精神を広めるなど、何らかの形でオリンピック・パラリンピックの成功に向けて取り組めることを進めるため、財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と全国の各大学との間で、大学間連携協定が結ばれることになりました。
今回協定を締結したのは、全国552の大学と短期大学。
日本福祉大学もその大学の一つです。
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この大学間連携協定の締結式が、6月23日(月)の東京の早稲田大学大隈記念大講堂で開催され、日本福祉大学から丸山悟理事長が出席し、協定書の交換が行われました。

連携の項目は次の4点。
1.人的分野及び教育的分野での連携
2.オリンピック・パラリンピック競技大会に関わるおり研究分野での連携
3.オリンピック・パラリンピック競技大会の国内PR活動での連携
4.オリンピックムーブメントの推進及びオリンピックレガシーの継承に関する連携
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「開催に向けて大学ができること」と題して基調講演を行った武藤敏郎組織委員会事務総長は、2020東京オリンピック・パラリンピックは、東日本大震災の被災地復興を大前提とした開催とし、競技そのもの以外にも、日本文化として東北の資源や文化を取り入れることも検討している。有形無形のレガシーを残す大会とするため、大学が重要な役割を果たすこととなると、大学への期待を述べました。
その上で、具体的に大学に期待することとして、次の写真の通り5点を掲げました。
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こうした動きを受けて、本学でも東京オリンピック・パラリンピックの成功に貢献できる取り組みの検討が始まろうとしています。
パラリンピックの理解促進や、障がい者スポーツの普及・支援、地域でのスポーツイベントの企画・実施等は今までにもすでに取り組まれています。
社会人としての基礎能力を持つスポーツ人材の育成、競技を支えるボランティアの育成、地元の小中学校と共同して地元の歴史や文化を発掘し、海外に発信していくグローバル人材養成の取り組みなど本学が取り組める可能性のある事業は多岐にわたると考えられます。

この協定締結を踏まえて、今後大学から「連携実施計画書」を提出することになります。
地元と連携して、オリンピック・パラリンピックの理解を広げ、どのようにスポーツ人材やグローバル人材を養成していくか、今後の本学の取り組みにごぜひ注目いただきたいと思います。

ソーシャルビジネスで貧困をなくす!

7月12日(土)に、日本福祉大学埼玉県地域同窓会が開催され、県内在住の約30人の同窓生の方が参加されました。
埼玉県地域同窓会では、今後ホームページで様々な活動のご案内をしていくそうです。
http://blogs.yahoo.co.jp/nihonfukusidaidousousaitama
埼玉県在住の方だけでなく関東地方の同窓生の方も、時々ご覧になると、ユニークな企画の情報を得ることができそうです。
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総会で活動報告、活動方針が承認された後は記念講演会。
今年は、「ソーシャルビジネスで貧困をなくせるか-発展途上国の経験から-」と題して、福祉経営学部の雨森孝悦教授か講演しました。
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ソーシャルビジネスとは、社会問題をビジネス的な手法で解決しようという取り組み。
発展途上国でも、従来は採算を重視しない開発協力(援助)が中心であったものが、近年は民間投資が中心に移行してきていることが紹介され、マーケットを通じた企業活動による貧困の緩和が取り組まれていることがまず紹介されました。
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ソーシャルビジネスの成功事例として、2006年にノーベル平和賞受賞したムハマド・ユーヌスが創立したグラミン銀行によるマイクロファイナンスが紹介されました。
竹細工で生計を立てていた貧しい女性たちが、材料費を買う僅かなお金がないことで貧困にあえいでいる姿を見て、自分がお金を貸せばその女性たちが事業を継続できて貧困から脱出することができるだろうという考えが銀行設立のきっかけ。
事業の目的が「貧困からの脱出」という、公益性があり非常に社会的意義を持つ内容であることが特徴です。
グラミン銀行は、貧困層に対して融資をしているとはいえ、金利は年に20%とります。 しかし、その金利にもかかわらず、貸倒率は2009年では0.5%以下と極めて低いことが特長。
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つまり、貧困層だった人が融資によって事業を継続し、生活を成り立たせているということになります。
どうしてそんなに高い返済率が可能になったのか、雨森教授は次のように解説してくれました。

まず、マイクロファイナンスという通り、超小口の融資額で借主の負担を小さくしていること。 そして、週ごとの返済とミーティングによって、返済する意欲を継続させる取組をしていることが挙げられました。
借主は、満足な教育を受けていない貧困層ですから、事業継続や返済計画について細かく丁寧にアドバイスをしていくことが欠かせないのです。
さらに、借主は5人一組のグループを作り、そのグループの連帯責任制をとることで、高い返済率を維持しているといいます。
融資は5人のグループの中で一人ずつ順番に行われ、、一人の返済が終わらないと次の人が融資を受けられない仕組みになっています。 貧困層のほとんどが農村の村社会で生活しているので、仲間に迷惑を掛けては村で生きていけないという意識が、返済意欲の維持につながっているというわけです。

マイクロファイナンスについては、その限界や問題もいくつか指摘されていますが、発展途上国の貧困問題の解決に貢献をしてきたことは事実。
参加者の皆さんは、「援助」だけではない、持続可能な支援の在り方を学ぶことができました。
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最後は、参加者一同で恒例の記念撮影。
その後の懇親会でも、雨森教授の周りには多くの卒業生が集まって、講演の続きのお話や、それぞれのお仕事の情報交換で話題が尽きない日となりました。

生存権を問う「朝日訴訟」から学ぶ

6月28日(土)に、日本福祉大学東京地域同窓会の総会と講演会が開催され、約50名の同窓生の方々が参加されました。
総会の後に行われた講演会では、「権利としての社会保障の展望~”人間裁判”承継50年に当たって」と題して、NPO法人朝日訴訟の会理事の朝日健二氏が講演を行いました。
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朝日訴訟とは、重度の結核で国立岡山療養所に長期入院中であった朝日茂さんが、当時の生活保護法による保護基準はあまりにも低劣であって、健康で文化的な生活を営む権利=生存権を侵害する、として訴えた裁判。 「人間にとって生きる権利とは何か」を真正面から問いかける意味で「人間裁判」と呼ばれました
裁判では、東京地裁で当時の生活保護基準を違憲とする判決を下されています。
この裁判が行われた影響から、1961年以降23年間にわたって保護基準の改正が行われることになり、一般世帯との生活水準格差を縮小する取り組みが続きました。
この裁判を長く支える一翼を担ったのが、日本福祉大学の学生や卒業生・教職員です。
この日は、かつて学生としてこの裁判を支えた多くの卒業生のみなさんも参加し、改めて「朝日訴訟」の今日的な意義を学びました。
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朝日訴訟の公判を通じて証言をされた内容には、50年以上を経た現在の社会福祉の課題に共通する問題がいくつもあります。
藤本武・労働科学研究所長(当時)が厚生省委託研究結果に基づき証言した、生活費と子どもの知能レベルの相関は、現在でも所得格差による貧困の中で学習機会が奪われる子どもたちの状況と重なります。
朝日訴訟が争われた1950年代から60年代の初めにかけては、自殺率のピークとなる「第一の危機」といわれた時期、そして現在は1998年以降続く自殺率ピークの「第三の危機」といわれる時期でもあります。

所得格差、非正規雇用、孤独死等、生活保護をめぐる問題が再び注目されている中、「生存権」の持つ意味とその必要な水準を考えることは、たいへん大事な意味を持っているのではないかと思います。
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講演の後は恒例の記念撮影。
朝日さんを囲んでの懇談は、続く懇親会の場でも熱心に続き、これからの社会保障レベルを考える貴重な機会となりました。