月別アーカイブ: 2016年5月

懐かしい話をしながら認知症予防

すっかり初夏の暑さとなってきた5月22日(日)、千葉県地域同窓会が千葉市のバーディホテルで開催されました。
今年の記念講演講師は、日本福祉大学健康科学部リハビリテーション学科作業療法学専攻の来島修志准教授。「認知症予防と回想法」と題して、約40名の参加者を前にお話をされました。
DSC01091DSC01089「昨日の晩御飯のメニューを覚えていますか?」という先生からの質問で講演がスタート。
メニューを覚えていないのは問題がないが、食べたことを忘れているとしたら、ちょっと認知症として心配なところがあるという、物忘れと認知症の違いについてのお話に参加者一同ちょっと安心。
続いて、病識の希薄さ、取り繕い、時間や場所や人が分からなくなる(見当識障害)といった、認知症行動の特徴について解説がされました。
認知症では、昔のことは覚えていても新しいことは覚えられない(記銘力障害)、理解・判断力低下、見当識障害、幻覚や妄想・不安・抑鬱といった精神症状や心理的行動障害が起きるとのこと。
家族にこうした症状が出たとき、けして否定しないことが大事だそうです。
また、認知症という病気があるわけではなく、認知機能の低下による様々症状が出ていることを「認知症」と称していると先生は述べます。
認知症にはいくつかの原因がありますが、その後の進行を抑えるためには初期の診断が重要であるとのこと、認知症の原因によってそれぞれ治療の方法があるとのお話がありました。
認知症の中でも最も多いアルツハイマー病は、アミロイドβというたんぱく質の「ゴミ」が脳に溜まって神経系統を破壊するすることが要因であることが分かってきており、この「ゴミ」が脳内で悪さをしないような薬が開発されようとしていること、10年以内に根本的治療ができる可能性があることもご紹介いただきました。
認知症の予防のためには、日常生活の中で脳を積極的に使うことが有効とのこと。生活習慣病予防を行うこと、日常生活で何らかの役割を持つことが大事だそうです。
愛知県では「コグニサイズ」という歩きながらしりとりや計算をする取り組みが行われ、効果がでていることを事例としてご紹介いただきました。
さらに、人間には指先や顔に多くの神経細胞が集まっており、指先を動かしたり、人と話して笑ったり頷いたりといった表情を作ることが大事であること、日記を書いたり、自分史を書いたり、昔話を誰かにすること、好きな趣味の取り組みや、自分で計画を立てて旅行に行くことも認知症予防には有効であるとのお話がありました。
お話の最後には、ご自身の出身地である富山の薬売りを例に、参加者の方と当時の様子を回想法を実践。
参加者の皆さんは、何十年ぶりかの記憶を思い起こすことで脳を活性化する取り組みを体験しました。
回想法は、過去の体験を思い起こして脳を活性化させるきっかけになるとのこと。
昔話を交わすことは、脳の活性化に大いに有効だそうです。
認知症ケアに回想法を取り入れることの有効性や、取り入れるための教材もご紹介いただき、高齢者福祉分野で働く卒業生の方々にはたいへん参考になるお話となりました。
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講演会に続いて行われた同窓会総会では、千脇会長が千葉県地域同窓会の活動方針を紹介。
千葉県内の卒業生には、医師の方や元国立天文台の所長の方など、多様な経歴を持つ方々がいるので、多くの方の声を会報に掲載して交流を図りたいとの提案がありました。
その後、新役員14名を選出。新しい体制で千葉県の同窓会活動を進めていくことが参加者全員で確認され、引き続く懇親会でもさまざまな交流が行われました。
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社会福祉の原点:「貧困」問題を考える

2016年度に入り、関東地方の地域同窓会のトップを切って、5月14日(土)に神奈川県地域同窓会が横浜市のウィリング上大岡で開催されました。
今年は参加者確保に苦労されたと会長さんは仰っていましたが、メイン企画である本学山田准教授の講演には75名の卒業生・在校生の方が参加し、会場はほぼ満席となる盛況ぶりでした。
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名古屋でホームレスの支援活動を長く続けている山田壮志郎准教授は、「広がる貧困-生活困窮者の支援を通じて福祉の原点を考える-」と題して講演。
その地域に住居があって、住んでいなければ、保育や教育など地域福祉のサービスも受けられないという現実があることから、人間の社会的存在は、住居があることが基盤になっているということから、お話が始まりました。
社会福祉の原点は貧困問題とのこと。バブル期は貧困が見えにくくなった時期もありましたが、今また貧困問題が広がっている現状があるとのこと。
相対的貧困率は1990年代後半から上昇中だそうです。
生活保護受給者も合わせて上昇し、これも2008年のリーマンショック後に急増しており、非正規雇用の増大がその背景にあると山田准教授は指摘します。
現在のホームレスの人には、精神疾患と知的障がいを持つ人が6割を超えており、ホームレスになる人の半数は非正規職からホームレスになったもの。
高齢や不況によって仕事に就けなくなり、ホームレスになるケースがあること、不安定な雇用と不安定な住居が結びつくとホームレスになりやすい情況を解説していただきました。
さらに、仕事と住居の喪失に加えて、人や社会との関係性の喪失もホームレスの問題としてあるとのこと。
湯浅誠氏は、「貧困とは”溜め”の喪失」と述べておられますが、金銭的な「溜め」だけでなく、人間関係や精神的な「溜め」も生きていくためには重要な要素だと山田准教授は語ります。
ホームレスや生活保護を受給している人は、社会的関係性に困難を抱えている人も多いことから、釧路市が実施している「中間的就労」を含めた支援ような、「顔の見える関係」づくりが偏見を取り除いていくことが有効な例と紹介されました。
地域の中で居場所と役割を作ることが大事であり、居場所があるということは、貧困の問題を考える上で共通に大切なこと、アウトリーチの手法を使って働くためや生活するための、共通の基盤を作っていくことが、貧困問題解決には重要であることをお話しいただきました。
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前後して開催された地域同窓会では、2016年度の活動方針を承認。
今年も8月に通信教育部学生の交流会を開催していただくことなど、県内の在校生支援の取り組みを行っていくことなどが確認されました。
同時に取り組まれた熊本地震に対する義援金の訴えには、27,473円が集まり、確認された活動方針を実践する活動も取り組まれました。

その後の懇親会には、卒業して50年以上を迎える大先輩から、現在、通信教育部や通学課程の学部で学ぶ現役の学生まで幅広い年代層が参加。
現役の学部4年生が県内で就職を希望していることが紹介されると、たくさんの先輩たちから「ぜひわが施設へ」とお誘いの声。
最後まで温かい関係性を保ち続ける会となりました。

優しい工夫

「へ~そうなんだ!」の巻♪

先日のテレビ番組で、文房具の「4色ボールペン」の優しい工夫が取り上げられていました。
医療現場の看護師さんにとって、黒
の「4色ボールペン」は、患者さんの状態、体温・血圧・脈拍等を色別に速やかにカルテに書き留めるために必要不可欠な文房具ですが、夜間の病棟の見回り、災害現場など、暗がりでの対応もたくさんあります。そこで、指先で触れば何色かがわかるように、色別に突起の違いの工夫が加えられたのだそうです。思わず自分の「4色ボールペン」を確認してしまいます
このボールペンは、色の識別が困難な視力に障害のある人にとっても便利なもの。
このように、健常者にも障害者にも便利なものを「共用品」といいます。

ちょっとだけ優しい目線で身の周りのものを意識してみると、優しい工夫は他にもたくさんありそうですね。
みなさんの身の回りにも、こうした優しい工夫のモノを探してみませんか?
「ふくし」をより身近に感じることができますよ。


日本福祉大学で以前作成したノベルティ「4色ボールペン」にも、ちゃんと4色の違いが分かる突起がついています。福祉の大学はノベルティにもちゃんと意味を持たせていますよ♪

4色ボールペン

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