「真田太平記」池波正太郎
2011年1月18日
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教育開発室 職員 鈴木慎一
池波 正太郎 新潮社 1988-03-01
歴史は、自分自身とつながりが全く切り離された世界で実力者が創りあげてきたものとして捉えていました。
また、試験の際に出題される人物の名前だとか西暦何年にこんなことがあったということを単純に記憶するのみで、断片的に知っている程度で留まっていました。
今回ご紹介する本は、戦国時代を強かに生き抜く姿や武将間の関係性を史実に沿って描かれた池波正太郎作の「真田太平記」(文庫本で全12巻)です。
この本の中では、真田家のもとで諜報活動をおこなう忍者が、何人も描かれております。
ここに出てくる忍者は、1日、40~50里(約160~200km)の距離を走り、気配を消して音も無く武将の枕元に現れるなど人間の能力を遥かに超えた力を持っています。
この忍者の登場が、この本をより面白く読みすすめることができる材料になっていると思います。また、上杉家、徳川家、北条家に囲まれた中で時代の流れに飲み込まれていく幸村と信之の生き様や徳川軍による上田攻めなど、かなり読み応えはあると思います。
行き帰りの電車の中や昼休みの時間で長編小説に挑戦してみてはいかがでしょう。
「タオのプーさん」ベンジャミン・ホフ
2011年1月11日
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子ども発達学部 心理臨床学科 教授 中村 信次
プーさんや、コブタ、トラーなど、おなじみ「クマのプーさん」の登場人物(登場動物?)の言葉や行動から、老荘思想という中国の古い哲学に入門しようという本です。
“タオ”という言葉は、もともと中国語で“道”という意味で、道教やその基になった老荘思想のことを西洋ではタオイズムと呼びます。それで、“タオ”の言葉を語るプーさん、タオのプーさんということです。
#ちなみに、大学時代の友人で中国哲学が専門の人間がいて、そいつによると、筆者の
#老荘思想の解釈には、西洋人にありがちな偏りが見られるということでしたが、そん
#なことはこの本の価値とはまったく無関係です。
全編を通して繰り返されるテーマは、「ゆっくり、あるがままに生きればよい」というものです。
最近では、さかんに「がんばらない生き方」ということが言われるようになりましたが、この本が出版されたのはバブルの真っ只中の頃で、とにかくみんなががむしゃらに生き急いでいたような状況の中で、この本のメッセージは際立ったものでした。
私自身は、この本が出版された直後、大学生の頃に読んだのですが、その時に日常の生活で知らず知らずのうちに蓄積されていた背中のこわばりが、スッと溶け出していくように感じたことをまだよく覚えています。
これ以上私の言葉でこの本を紹介しても、あまり意味がないのかもしれません(言葉を変えてしまうと、本の雰囲気が伝わりにくくなるかと…)。
興味を持ってもらえた人は、ぜひ実際に読んでみてください。続編に、「タオとコブタ」という本があります。同じくお勧めです。
最後に、表紙でプーさんがうたっている詩を紹介します。これだけでも、素敵な本だとわかってもらえるのではないでしょうか…
見てのとおり / ぼくはぼく / きみはきみ
でも きみが / きみにできること すれば
きみは 道を見つけ
道は きみについていく