「タオのプーさん」ベンジャミン・ホフ
2011年1月11日
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子ども発達学部 心理臨床学科 教授 中村 信次
プーさんや、コブタ、トラーなど、おなじみ「クマのプーさん」の登場人物(登場動物?)の言葉や行動から、老荘思想という中国の古い哲学に入門しようという本です。
“タオ”という言葉は、もともと中国語で“道”という意味で、道教やその基になった老荘思想のことを西洋ではタオイズムと呼びます。それで、“タオ”の言葉を語るプーさん、タオのプーさんということです。
#ちなみに、大学時代の友人で中国哲学が専門の人間がいて、そいつによると、筆者の
#老荘思想の解釈には、西洋人にありがちな偏りが見られるということでしたが、そん
#なことはこの本の価値とはまったく無関係です。
全編を通して繰り返されるテーマは、「ゆっくり、あるがままに生きればよい」というものです。
最近では、さかんに「がんばらない生き方」ということが言われるようになりましたが、この本が出版されたのはバブルの真っ只中の頃で、とにかくみんなががむしゃらに生き急いでいたような状況の中で、この本のメッセージは際立ったものでした。
私自身は、この本が出版された直後、大学生の頃に読んだのですが、その時に日常の生活で知らず知らずのうちに蓄積されていた背中のこわばりが、スッと溶け出していくように感じたことをまだよく覚えています。
これ以上私の言葉でこの本を紹介しても、あまり意味がないのかもしれません(言葉を変えてしまうと、本の雰囲気が伝わりにくくなるかと…)。
興味を持ってもらえた人は、ぜひ実際に読んでみてください。続編に、「タオとコブタ」という本があります。同じくお勧めです。
最後に、表紙でプーさんがうたっている詩を紹介します。これだけでも、素敵な本だとわかってもらえるのではないでしょうか…
見てのとおり / ぼくはぼく / きみはきみ
でも きみが / きみにできること すれば
きみは 道を見つけ
道は きみについていく
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