「天の瞳」灰谷健次郎

2011年3月15日

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国際福祉学部 准教授 佐藤慎一

 
 
 
前職で教育関連のプロジェクトに携わることになった際、上司から何気なく薦められたのがこの本でした。本書は小説ですが、教育問題はもちろんのこと、どのような姿勢で仕事をしていくか、また、大げさかもしれませんがどのように生きて行くかといったことに関して、深く考えさせられる内容となっています。
以上のように紹介すると「難しいのでは?」という印象を持たれるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。いったん読みはじめると、個性的な登場人物により繰り広げられる魅力的なストーリにのせられ、どんどん読み進めてしまうことでしょう。
主人公は悪ガキ「倫太郎」とその仲間たち。ストーリは保育園からはじまり、周囲の人達との触れ合い・ぶつかり合いを通じて成長していきます。主人公に加えて、周囲の人達がこれまた魅力的なのですが、私が特に印象に残っているのは、倫太郎の「じいちゃん」です。
じいちゃんの話は渋くて味があり、悪ガキ倫太郎もこのじいちゃんの話は大好きで真剣に聞き入ってしまいます。どんな味わい深い言葉が出てくるかは、ぜひ本書を手にとって確かめてもらえればと思います。
その他にも、知的障害のある「シュウ」、一風変わった中学教員の「ナンデスネ」などなど、個性的・魅力的な人物が登場し、飽きることがありません。彼ら・彼女らの視点・考え方には、ハッとさせられることも多いでしょう。
幼年編1・2、少年編1・2、成長編1・2、あすなろ編1・2と8冊に分かれていますので、まずは幼年編を読んでみてもらえたらと思います。作者が本書執筆途中で亡くなられ、9冊目「最終話」が出版されてはいるものの、ストーリとしては完結していません。
それでもなおお薦めしたい一冊です。

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