「世界を見る目が変わる50の事実」ジェシカ・ウィリアムズ

2012年2月9日

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国際福祉開発学部 小倉美津夫

世界を見る目が変わる50の事実
世界を見る目が変わる50の事実
ジェシカ・ウィリアムズ 酒井 泰介
草思社

 
 
 
 
大学へ勤める前に愛知県国際教育研究協議会の会長を3年間務めたことがあります。その時に「国際理解教育」とは一体何を意味しているのだろうと疑問を抱いたことがありました。毎日のように「国際理解教育」ということばを新聞、広告、メディアで見たり聞いたりしていますが、今一度その意味を見つめ直したいと思っていたところ、英国のBBCジャーナリストJessica Williamsが著した50 FACTS THAT SHOULD CHANGE THE WORLD(邦題「世界を見る目が変わる50の事実」)に出くわしました。「肥満の人の3人に一人は発展途上国に住んでいる」、「世界の5人に一人は一日1ドル未満で暮らしている」、「インドでは4,400万人の児童が働かされている」、「世界で7人に一人が日々飢えている」、「世界で3人に一人は戦時下に暮らしている」、「近年の武力紛争の四分の一は天然資源がらみ」、「毎年10の言語が消滅している」、「14秒に一人ずつ若者がHIVウイルスに感染している」等々。どの事実についても、知らなかったという人が多いのではないでしょうか。なかでも、現在日本国内で小学生から高校生に至るまで所持および使用法について問題が続出している携帯電話、それを作るために必要な希少原料が「アフリカの世界戦争」の火種になっていたことを知り愕然としました。
「国際理解教育」の意味は人それぞれにとらえ方が異なっています。たとえば、「欧米文化理解」、「アメリカ合衆国理解」、「英語学習」などです。それは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌等をとおしてアメリカやヨーロッパの国々のことがひっきりなしに流れてきて、好むと好まざるとに拘わらず私たちの生活の中に浸透しているからで、それも断片的に、特に食物、ファッション、音楽という分野ばかりが目立ちます。しかし、それだけであってはなりません。世界には191ヶ国(2005年3月1日現在)あり、歴史、政治、経済、文化、教育等国によって形態や事情は様々です。「国際理解教育」は、異文化理解や外国語教育のみでなく、人口、食料、環境、エネルギーといった共通の課題の問題解決学習としてとらえ、その学習を通して、いろいろな文化や価値観を学び、視野を広げ、平和の心を築き、何よりも自分や自国を見つめ、自分たちの生き方を考えたり、共通の課題、地球的課題に取り組もうとする姿勢を育てたりする教育であると考えます。
この本は私が述べてきたようなことを考えさせられる良書であると言えます。ぜひ一読してほしいと思います。

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