事業所取材企画、社会福祉法人新生会訪問!

岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブックの取材。今回は、岐阜県は揖斐郡池田町に本部がある社会福祉法人新生会が岐阜駅前のシティータワー43で運営している「サンビレッジ岐阜シティタワー・訪問看護ステーション」へ伺いました。シティータワー43では、2007年に、「赤ちゃんから高齢者までが最期まで安心して暮らせる街づくり」をスローガンにサンサンタウンを開設。新生会が運営する訪問看護ステーションや住宅型有料老人ホーム、多世代交流施設の他に、別法人が運営する診療所や保育所、歯科医院、薬局などが連携して一つの「街」をつくっています。

本日の取材インタビュアーを務めるのは、看護学部3年の西村春奈さんです。訪問看護ステーションでは、看護師兼管理者として活躍されている川瀬由起子さんに出迎えていただき、早速、施設の概要説明を伺いました。

サンサンタウンでは、赤ちゃんから高齢者まで、地域の人が行き交って交流ができるようにタウンの真ん中に広場があるなど開放的な雰囲気で作られているとのこと。また、住んでいる方それぞれが楽しみや役割を持って自立できる仕掛けが様々なところにあると川瀬さんから伺いました。

続けて、施設内の見学に進みます。3階のサンサンタウン内は通路の周りに診療所や歯科、薬局、保育園、喫茶コーナーなどがあり、まるで商店街のような様子。各施設の機能や役割を伺いながら、現場を順番に回ります。6〜14階のサービス付き高齢者向け住宅では、水感知センサーで住居者の方の安否が確認できるなど、皆が安心して暮らせるように、連携して支援・ケアできる環境を見ることができました。

見学後は、改めて川瀬さんにお話を伺いました。

――サンサンタウンならではの良さはどのようなことですか?

自分たちの法人だけではなく、他の事業所と一緒に仕事ができることです。同じ法人内だけだと、馴れ合いから停滞してしまう可能性もありますが、他との連携によって、よりよくやっていけていると感じます。「安心して暮らせる街をつくる」という同じ目標に向かって、お互いに認め合い、刺激し、高め合っています。

企業の方と一緒に仕事をすることも良いですね。商業のことや、広報の仕方なども勉強になりました。対個人だけでなく、対社会に向けて仕事をするという意味で、法人としても成長できたと感じています。

――(川瀬さんが感じる)新生会の職場の魅力はどのようなことですか?

皆が利用者を中心として働いているところです。全員が地域住民のことを考え、相手の立場になって仕事をしているので、働きやすい。これが、利益や、他の職員のために働くとなると、やりにくくてしょうがないです。また、他の拠点もそうですが、それぞれが「地域のために」という意識が強いです。

また、制度がなくても、利用者に必要であれば新しいことに挑戦しています。制度のために仕事をするのではなく、利用者のために行っていたことが制度として後から付いてきます。この姿勢も法人の魅力です。

――この仕事で、難しい、大変と感じることはどんなことですか?

何かを決めなければならないときに、「絶対にこっちを選んだ方がいいのに」という選択肢を相手が選んで頂けない時です。自分の価値観の押し付けになってはいけないことはわかっているのですが、相手が別の選択をしたり、選択すらしてくれないときは難しいと感じます。でも、うまくいかないことがあるからこそ、うまく行ったときの達成感は大きいです。

――仕事はどうやって進めているのですか?

利用者さんであっても、あくまで他人です。他人の人生なので一人で抱え込むのは負担が大きいし、危険。そのため、必ずチームで対応しています。看護師同士もチームであり、連携している診療所の先生や、生活相談員などもチームです。みんなで集まっていつも作戦会議をしています。

――仕事のやりがいを教えてください。

看護師の仕事は、人間相手の仕事です。他の人の人生の大切な時間のなかで、その方の生活や考え方、価値観に関われることは、貴重な経験であり、やりがいに感じます。利用者さんと一緒に考え、一緒に選び、時には失敗しながら、悲しみも喜びも、驚きも共有できる仕事です。全く同じ人はいらっしゃらないので、毎回が新鮮ですね。

――印象に残っているエピソードはありますか?

ある一人暮らしの女性との出会いです。末期の癌を患っている方でした。その方はお一人で入居されていたのですが、最期の1週間、一人で居るのは寂しいから、住宅型有料老人ホームで生活したいと自らおっしゃったのです。自分の人生の最期まで自分で過ごし方を選んでいける力強さを目の当たりにした時、私もそう生きたいと思いました。

この施設では、女性の6割がお一人で生活されています。でも、みなさん自分がどうしたいかを自己決定されていらっしゃいます。これは、先ほどの女性が最期まで自己決定された姿を見て、他の方もここで最期まで安心して暮らせると感じていただけたのだと思います。

私たちも、このタワーで自己決定できる街づくりがやっていけると確信できました。

――最後に学生へのメッセージをお願いします。

看護師もそうですが、人と関わる仕事をするなら、その人の背景や、価値観、その家族、関わる地域の方まで見ると、その人の全体が見えてきます。私は、以前病院で勤務していた時に、寝たきりで無反応な患者さんのケアを行ったことがあります。ある日そのご家族から、「あの看護師さんにケアして欲しくない」と言われ、とてもショックでした。でも、振り返って考えてみると、機械的に作業をしているだけになっていた自分に気づきました。人に関わっているのに、相手を人として関わっていなかった自分が怖かったです。この経験があるからこそ今の自分がいます。目の前の「人」の人生まで見て関わることができるように視野を広く持って欲しいです。そうすることで、自分の人生も豊かになりますよ。

取材を終えて、インタビュアーの西村さんからは、「これまで学んできた訪問看護のイメージは、自宅に伺ってケアするというイメージだったが、取材をして、個別性や地域のつながりが重要であり、他のスタッフや施設と連携しながら利用者の人生をみていく仕事なのだと感じた」と感想がありました。

サンサンタウンの皆様、忙しいなか、お時間をかけて丁寧に対応していただき、ありがとうございました。