岐阜で活躍するふくしマイスタープラスの姿①

地元住民の生活を支える地域づくりに力を注ぐ

2019年3月。ふくしマイスタープラス第1期生が誕生。社会に出て1年が経とうする彼らが、どのように地域で働いているのか、話を聴きに現場へ伺いました。1人目は、地元中津川市の社会福祉協議会で働く原奏恵さんです。
―どんな仕事をしていますか?
私が担当している仕事の一つが、生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーターとして地域に出向くことです。この事業は、生活の中のちょっとした困りごとを、その方が暮らす地域の中で解決できる地域をつくることが目的です。主には、高齢になられて、電球が切れたけど取り替えられないとか、大きなゴミが出たけど一人では運べないなどの困りごとを地域のご近所で助け合える仕組みや意識づくりです。
―具体的にどんなことをするのですか?
例えば、情報の発信です。「生活支援体制整備事業」と言ってもわかりにくいので、この事業の説明や、私のようにつなぐ役割がいることを地域の人たちに知ってもらうために、案内のチラシ作成や、広報誌、ホームページで取り組みを紹介しています。取り組みが地域で共有されて、事業について理解をしてもらい、このような支え合いの必要性が伝わるよう努力しています。
―地域との関わりはどうですか?
地域の集まりに足を運んで、関係づくりをしています。体操を一緒にすることや、お茶を飲みながら会話をする中で、社協の取り組みもお伝えしていきます。でも、困りごとを伺って、「それは大変ですね」で終わってしまうこともありました。今後は、それを地域で解決できるようにつながりづくりに取り組んでいきたいです。

―仕事をする上でどんなことを大切にしていますか?
これまでの先輩たちが築いてきた地域との関係です。私が担当地域のサロンなどに出かけると、「よくきたね!」と言って、みなさん本当に暖かく迎えてくれます。これは、地域の方の人柄もありますが、これまでの職場の先輩方が長年かけて築いてきた信頼なのだと感じます。それを忘れないように、私も地域の方を信頼し、信頼してもらうことを大切にしています。
―1年間働いて印象に残ったエピソードを教えてください。
印象に残っている嬉しかったことは、担当地域の取り組みを広報誌に掲載した時に、普段はあまり広報誌を見ていない方が、お会いした時に記事を持ってきて、掲載してくれてありがとうとおっしゃってくれたことです。自分が発信することで喜んでくれる人がいて、自分が認められたような気がして嬉しかったです。きっと、相手の方も同じ気持ちになっていたのかなと思うと、今後も、いい取り組みをもっと発信していきたいです。
―仕事をしてから自分が変わったと思うことは?
自分が生まれ育った地域なのに、地域ごとの特性まで知らなかったことに気づきました。実際に働いてみて、地域づくりはその地域の特性をよく理解して関わっていく必要があると学びました。例えば、地域の人が集まるサロンが、人がつながるきっかけになる地域もあれば、それが必要ない地域もあります。その特性を理解していないと、うまくいかないなと感じています。

―思っていたことと、やってみて感じたことが違ったのですね
はい。大学の卒業研究で、地域共生社会をテーマに取り組んでいました。そこで感じたことは、少し言葉は乱暴かもしれませんが、国が制度をつくって、地域に丸投げをしている印象でした。でも、実際にこの事業に携わると、地域の資源や状況、課題、地域性が違って、ほかのところでうまくいった事例が当てはまらないこともあるとわかりました。地域の特性に合わせて、専門職だけでなく地域の方と一緒に取り組んでいくことが必要だからこそかなと思うようになりました。
―大学の学びや経験で、今につながっていることはありますか?
全てつながっていると思うのですが、すぐ出てきません(笑)。でも、一つ挙げるとすると、取り組む姿勢です。大学時代に、卒業生の方の取材に何度か伺った時に、挑戦すること、やってみることの大切さを学びました。それは、就職活動でも、今の仕事でも活きています。例えば、仕事であれば、自分の考えは上司に言葉にして提案するようにしています。
―今後は、どんなことに挑戦していきたいですか?
みんなでこの地域を良くしていく風土というか流れをつくっていきたいです。社協だけとか、住民だけで取り組むのではなく、みんなでどうしていきたいかを今よりも、もっともっと話し合って、共通の方向性を考えて、一緒につくっていけるような関係にしていきたいです。
【編集後記】
終始笑顔で語ってくれた原さん。生まれ育った中津川市への地元愛が伝わってくると同時に、地域の「みんな」で、今後をつくっていきたいという強い想いを感じました。今後もたくさんの経験をしながらさらに活躍の場を広げていく姿が楽しみです。
お忙しい中ご協力いただいた中津川市社会福祉協議会の皆様、ありがとうございました。