【卒業生取材】社会医療法人聖泉会 聖十字病院を訪問!

本人が、本人らしくあられるように

一人の人として本人を大切にする

卒業生の活躍を取材する企画。今回は岐阜県岐阜市出身の鹿内真子(しかない まこ)さん[2018年卒]を訪ねました。美浜キャンパスの社会福祉学部で社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得された鹿内さん。卒業後は岐阜県土岐市にある社会医療法人聖泉会「聖十字病院」でソーシャルワーカーとして活躍しています。インタビュアーは、社会福祉学部4年の麓由名さんと渡辺日菜子さんがつとめます。
━━1年目はどのようなお仕事をされていましたか?
最初は、病院内の相談室に配属され、主に入院されている方の対応をしていました。大学でソーシャルワークの勉強はしてきたのですが、実際に現場でやってみると、思っていたよりも自分ができなくて苦労しました。この1年は、なんとか仕事をこなしていったという感じです。
━━現在はどのようなお仕事をされていますか?
2年目に入って、地域活動支援センターに移りました。ここでは、500円以内で散歩に出かけたり、ランチ会やディナー会を企画するなど、利用者の方と一緒に活動し、交流しています。電話による相談対応も私の仕事です。これからは、もっと、地域のネットワーク作りにも力を入れたいです。
━━この仕事をしてから、どのような能力が身につきましたか?
目の前の方が抱えている困難さが、以前よりわかるようになったと思います。精神障がいの方は、見た目では障がいがわかりにくいこともあります。生活に何も支障がないように見えても、話を伺っていくと、その人なりの生きづらさを感じている。それが前よりは理解できるようになったと思います。
━━他にも変わってきたことはありますか?
目の前の方に対して、自分がどうあれば、心を開いてくれるのか、本心を話してくれるのかを考えるようになりました。この1年いろいろな方と接してきた中で、自分のあり方次第で、相手との関係性が変わってくること、身をもって実感しました。自分のあり方を考えるようになれたのも成長かなと思います。
 
━━働く上で心がけていることはなんですか?
私が大切にしていることは、人として接するということです。疾患がある、障がいがある、ではなく、まずは、同じ「人間」同士。当たり前のようで、当たり前になっていないのではと感じます。だからこそ、この人としての関わりを私は大切にしています。
━━他にはどんなことを大切にされていますか?
相手ができることを奪わないことです。「何かをしてあげる」ではなく、目の前の方ができることは自分でやってもらう。誰かの手助けがあるとできる方であれば、手伝わせていただくが、すべてをやってしまわない。その加減は気をつけるようにしています。
━━仕事のどんなところにやりがいを感じますか?
やりがいというか面白さですが、自分を知れるところです。これまではあまり自分のことを知ろうとはしてこなかったですが、この仕事をしていると、目の前の方を通じて、いろんな自分が見えてきます。何気ない会話の中で「あ、こんな風に感じた」と自己覚知できることが面白いですね。
━━仕事の原動力は何ですか?
「この人のようになりたい!」と、目標になる先輩がいることです。その先輩と全く同じにはなれないけど、少しでも近づきつつ、自分なりの良さどう生かしていけるか考えています。また、忙しく働く方々の姿を見ていると、少しでも力になりたいと思い、頑張らなきゃと思います。
 
━━どうして岐阜で働こうと思ったのですか?
岐阜が好きなことと、この職場に出会えたことです。病院見学に来た時に、対応してくれた方の、患者さんへの接し方や関わりを見て、「ここで働きたい」と思いました。というより、「この人についていきたい」と言った方が正しいかもしれません。自分が目標とする先輩に出会えたことは、就職先を決めるにあたって大きかったです。
最後に地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。
自分が何をしたいのかがあると頑張れると思います。それは、今じゃなくても良くて、将来、こうしたいとか、こうなりたいとか。私の場合は、それが先輩でした。まずは、自分を見つめ直して、自分とちゃんと向き合うことで見えてくると思います。「こうしなきゃ」とか、「こうあらねば」と思うと、知らず知らずのうちに自分を型にはめてしまって、自分らしさがなくなってしまうので、ありのままの自分を受け入れてみてください。
~インタビュアーの感想~
働き方のイメージがより具体的になりました。業務は幅広いですが、自分なりにどこからどこまでやるのか考えなければならないと思いました。そのために、この職業の専門性や支援のあり方について今から深めておくべきだと感じます。多くの人と関わりながら自分らしいソーシャルワーカー像を考え、自分らしい働き方をしたいです。

社会福祉学部社会福祉学科 渡辺 日菜子

鹿内さんの話を聞き、就職がゴールだと、どこか甘い考えをしていた自分に気づくことが出来ました。「先輩ワーカーのようになりたい。だけど、私らしくもありたい。」という言葉から、ソーシャルワーカーとしての理想と自身という個性を大事にしていると感じました。日々の業務の中で「どうなりたいか」ということを考え、どう行動すれば、なりたい姿になれるのか、そういう振り返りが大事なんだと学びました。

社会福祉学部社会福祉学科 麓 由名