【卒業生取材】下呂市役所を訪問!

自分が生まれ、育ち、生活する場所

そこが“良い下呂市”になればいい

岐阜県で活躍する卒業生。今回は岐阜県下呂市出身の山下角英(やました かくえい)さん[2001年卒]の職場、下呂市役所を訪問しました。山下さんは、経済学部を卒業後、地元下呂市の職員として働き、今年で19年目に入られています。インタビュアーは、経済学部3年の志津福音さんがつとめます。

━━現在はどのようなお仕事をされていますか?

この4月に農務課に異動になり、今は、法律や制度を根拠にして、下呂市内の農地売買の手続きなど、農地に関わる仕事をしています。正直にいうと、この仕事はやらなければならない仕事の部類。他に、コテージやキャンプ、農業体験ができる施設「まるかりの里」の担当もしています。こちらはやりたい仕事の部類。ここをどううまく活用できるかは私の裁量によるので、面白い仕事の一つです。公務員の仕事は、法や制度の縛りがどうしてもありますが、それだけでなく、自分の感性が大切。そこに面白さがあります。

━━これまではどんなお仕事をされてきましたか?

保健衛生や公共交通、市営住宅から観光まで、幅広く経験してきました。最も長く関わった仕事は、観光課です。東京や大阪などの都心に赴き、下呂市に人を呼び込むキャンペーンなどをしていました。岐阜県がおこなっている岐阜の宝ものプロジェクトの認定第1号になった「小坂の滝めぐり」のプロデュースにも携わりました。

━━この仕事をされてきて感じた課題はありますか?

地域づくりを目指すと、地域の魅力を無理に創ろうとしてしまうところですね。大切なのは、本当に地域に根付いた資源を見出し、少しだけ手を加える、切り口を変える、それだけで十分。必要以上にブラッシュアップし過ぎたり、先進事例のマネをしてみたり、流行に流されてみたりと、地域に根付いていない別物を作ってしまいがちです。そうやって無理して創られた地域の魅力は次世代に継続されるわけがなく、地域にとっても良い結果にならないと思います。

━━この仕事をしてから、ご自身にどのような変化がありましたか?

仕事に対する意識が変わりました。特に印象に残っているのは、特別養護老人ホームでの経験です。新入職員として保健福祉課に配属され、4年目に特別養護老人ホームへ出向しました。そこの職員は主婦の方が多く、皆さんのとても効率よく仕事をこなす姿を見て、自分も見習わなければと思いました。それから自分なりに一歩二歩先を意識して仕事をするように心がけています。

━━働く上で意識されていることはなんですか?

単純に“良い下呂市”になればいい、それだけです。今自分がやっている仕事が、下呂市のためになっているのかは常に考えています。先ほどもお伝えしましたが、市役所の仕事は異動のたびに転職したくらい仕事の内容が変わります。その時その時で自分に与えられた仕事をツールとして使い、いかに良い下呂市にしていくかを私は大切にしています。

━━今後携わりたいのはどんな仕事ですか?

今あるものをもっと活かし伸ばしたいです。例えば、下呂市は腕のある大工さんがたくさんいます。その人たちがもっと活躍できる仕組み作りは挑戦したいですね。若者や子どもたちが、継続して「大工になりたい」と思ってもらえるように、市として何かできることがあると考えています。

━━他にも実現したいことはありますか?

農業のイメージ改善です。社会的には、農業と聞くと厳しいイメージがないですか?歴史の教科書でも、武士や商人に比べ身分が低く描かれているので、あまり社会的なイメージがよくないように感じます。でも、今の実際の農業は違う。機械化が進み、最先端をいく仕事です。また近年は若くてオシャレな農家さんも増えています。その魅力をもっと正確に伝えていきたいですね。

━━どうして岐阜で働こうと思ったのですか?

長男であったことは一つ。また、当時は地元に戻ってくる仲間が多かったこともあります。大学時代は、正直にいうとやりたいことは明確になっていませんでしたが、市役所で働くことへの漠然とした憧れはありました。

━━働いてから感じた地域の魅力はありますか?

下呂市には、意外に魅力ある仕事や事業所がたくさんあるのだということです。働くまでは、何もない地域だと思っていました。しかし、いざ働いてみるとそうではない。例えば、旅館。この立地、規模で年間の宿泊者数が100万人を超える温泉地は、全国を見てもそんなに多くはありません。私がこれらの魅力に気づいたのは、就職してからですね。また、自然の豊かさもあらためて感じます。

━━このお仕事を続ける原動力は?

自分の満足感です。他人からどう評価されるかではなく、自分が自分の仕事に良い評価を与えられるか。自分が自分で納得のいく仕事をしているかということです。周囲の評価ばかりを気にしていると楽しくないです。周囲の評価を目標にすると、自分のベストは出せないと私は思っています。ある意味、仕事を全て仕事と捉えず、趣味や楽しみの一部となっているのかもしれません。

━━自分でいい仕事ができたと思えたエピソードを教えてください。

市営住宅を担当していた頃、家賃を滞納している一人の男性との出会いがありました。最初は、「規則だから」と家賃を払う必要性をただ伝えるだけでした。しかし、その方が働けない理由を聴いていくうちに、その方が今の状態になったのは、決してその方だけのせいではないことが見えてきました。そこで、その方が働けるように地元の業者や市役所内での調整を進めていった結果、その方の就労につなぐことができました。さらに、「今後は自分を救ってくれた地域や社会に少しでも貢献したい」という言葉を聞いたときは、自分の仕事がその方の人生や下呂市のために少しは役立ったかなぁ…と感じました。

最後に地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

若い時にしかできないことは、若いうちにやっておくこと。その時にしか楽しめないことは、その時にしっかりと楽しんでおく。少し背伸びをしてでも、手を伸ばしてやってみてほしいです。後悔のないように。就職活動も大事だとは思いますが、就職してからは遊びも含めた様々な経験が重要になってくるので、色々なことに挑戦してみてください。それから、これは持論ですが、仕事ができる人は、自動車の運転が上手で、ご飯を食べるのが早い人が多いです。是非、目指してください(笑)。

~インタビュアーの感想~

自分の持っていた公務員のイメージが良い意味で変わりました。今まではどちらかというと堅いイメージでしたが、いろいろな方向から地域を「良く」していく公務員って面白い仕事だと思いました。それと同時に、とても難しい仕事でもあると感じます。なので、働くことに対しての自信はまだ持てていません。しかし、私は地元が好きなので、地元地域や住民の方のことを全力で考えて、地元を良くしていく仕事をしてみたい。それができるように勉強を頑張り、いろいろなことを経験して成長したいと思えました。

経済学部経済学科 志津 福音