岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブック作成企画の取材。今回は、岐阜県羽島市にある社会福祉法人岐阜羽島ボランティア協会にうかがいました。岐阜羽島ボランティア協会は、昭和56年に羽島市で様々なボランティア活動を行っていた団体が集まり、羽島市ボランティア活動連絡協議会として発足。その後、特定非営利活動法人として組織化し、自主運営を開始され、平成26年に社会福祉法人に認可されています。
今回取材のインタビュワーを務めるのは、社会福祉学部3年の青木洸介さん、赤塚雄太さん、三田明日香さんです。
まずは、岐阜羽島ボランティア協会の川合宗次理事長のお話をかみなり村北館のカフェで伺いました。かみなり村は30年以上前、地域には当時、障がいがある子もない子も一緒に集まれる場所がありませんでした。ないのなら作ろうということで「おもちゃ図書館」を開かれたことから始まったとのことです。その後も、作業所がないのなら作ろう、住む場所がないのなら作ろう、病児保育がないのなら作ろうと、地域のニーズに応じて、新しい事業を立ち上げられています。
地域で活動する人たちが集まり、その活動に参加する当
事者やその家族が加わり、そして市や学校も連携して、支え合いながら地域を創られてきた経緯を語られる川合理事長のお話に、インタビューアーの3人も引きこまれます。
川合理事長からは、成功したお話だけではなく、上手くいかなかった失敗事例も語っていただけました。しかし、失敗してもそこで終わるのではなく、いい勉強だったと受け止めて、次どうしたらいいかをみんなで考えながら、進み続けていらっしゃる姿は、学生たちが今後社会に出て働いていくうえでも学びたい姿勢です。
一通り、法人についてのお話を伺った後は、かみなり村付近の他の施設を案内いただきました。最初に伺った生活介護をされているホロホロ西館は、岐阜県の木材100%で造られた建物。温かい雰囲気のなか、利用する方もそれぞれの活動をされています。
その後、障がい者支援の作業所や児童分野の放課後等デイサービス、子育て広場、病児病後保育施設、ファミリーサポートセンターなど、徒歩圏内に点在する各施設を順番に見学しました。
近くに様々な施設があることで、どんな社会資源が地域にあるかを知ってもらうこともでき、さらには、子どもたちや、障がいを抱えた方が、この地域で今後どのように生活していくのか、その将来像が描けるから安心して暮らせるという声も利用する方からは聞こえています。
ファミリーホームでは、日本福祉大学の卒業生で入社1年目の佐々木智美さんにインタビューを行いました。
――どんな仕事をされていますか?
ファミリーホームを利用している子どもたちと一緒に生活をする仕事です。今は、小学生から高校生と一緒にいます。受験生もいるので、一緒に宿題や勉強をしたり、テレビを見たり、掃除やご飯つくりもします。その中で子どもたちは、私にいろんな話をしてきます。家族の事や、将来の事、学校のことなど。その話を聞きながら、親御さんや学校との間に入ることもあります。親御さんとの関わりは、思っていた以上に多いですね。また、事務関係の手続きも任されています。行政関係の手続きや、子どもたちの奨学金の応募の手伝いも行っています。
――仕事はいかがですか?
楽しくやっています。このホームでは、私が子どもたちと一番年齢が近いので、自分の弟や妹と接しているような感覚です。最初は緊張していましたが、周りの職員さんが自然体で子どもたちと接している姿を見て、自分もそのままでいいんだって感じて、今は素の自分で働いていられます。また、職員さんは地域の方や障がいを抱える方のご家族の方が多いので、関わっているといろんなことを教えてもらえ、とても勉強になります。
――子どもたちとどうやって関係を作っていますか?
子どもたちは、人を良く見て、よくわかっています。私が新人で、立場が下だってこともわかるんですね。なので、無視されたり、暴言を吐かれることもあります。でも、「私はあなたたちを大切に想っているんだ」ということを、言葉で伝え続けています。暴言を吐かれても、自分が感情をぶつけてもらえる相手で居られるんだって受け止めて接していると、だんだんと距離も縮まっていきました。でも、まだわからないことは多いですね。
終始、笑顔で話していただいた佐々木さんからは、今、充実して働かれている様子が感じられました。
最後に、川合理事長にインタビューアーから質問をしました。
――様々な場を作られるときに心がけていらっしゃることは何ですか?
前面に「私は福祉の専門職だ」という方ではない人に働いてもらっていることでしょうか。この法人は、この地域で生活する人たちと、この地域や社会に必要なものを創ってきました。職員も、そのために自分たちで必要なことを勉強し、研修を企画し、開催もしています。「支援者とは、こうあるべきだ」という想いが強い方や、「他の法人ではこうしてきたから」というやり方を持ち込んでも上手くいかないのです。あくまでも目の前の方やその周囲の方が、安心していられる場所、働いて行ける場所を作っていきたいのです。
現在、「地域まるごと共生社会」をつくる事業を進めています。この事業を通じて、羽島市だけではなく、岐阜県内の各地域も、それぞれの地域を見直して、地域共生社会を考えていく流れができればと思っています。
お忙しいなか、熱心に温かく迎えていただいた岐阜羽島ボランティア協会の皆様、ありがとうございました。
事業所の取材は今後も続きます。関心がある方は、gifuinfo@ml.n-fukushi.ac.jp星野まで連絡をどうぞ。