岐阜COC+参加5大学の学生が一堂に会して、地域の課題解決に取り組むサマースクール。今年は、飛騨圏域の4コースで開催され、それぞれのコースで日本福祉大学の学生が参加しています。後半は、本学から5人の学生が参加した下呂コースの様子をお伝えします。
下呂コースのテーマは、「農村滞在体験から、住み継がれる地域を考える」こと。下呂市では、地域おこし協力隊や様々なイベントの開催など、人を呼び込む取り組みをしています。しかし、人口減少、高齢化など、課題が少なくありません。
そこで今回は、学生たちが実際にこの地域の暮らしを体験しつつ、実際に移住された方や地場産業をされている方との出会いを通じて、この地域に人を呼び込み、暮らし続けるための仕組みを考えます。
初日は、下呂市のコワーキングスペースで、下呂市役所の職員さんから、下呂市の観光や移住施策について学びます。全国でも有名な名泉「下呂温泉」を中心にして、どのように観光資源を活用しているのか。また、現在、この地域が抱えている課題を地域としてどのように捉えているのかを伺いました。
その後、温泉街の散策を終えて、午後からは、実際に移住して就農で生計を立てている山田さんのトマトハウスを見学。この下呂を農業の地に選んだ理由を率直に語っていただきました。
続いては、地場産業である木工で、高品質・高価値な家具を製造している飛騨フォレストの今井社長を訪問。この地域で産業を行う魅力や課題についてお話をうかがいました。
夜は、宿泊先であるゲストハウス「ソラノイエ」に移動し、地域おこし協力隊から移住された、ソラノイエのオーナー中桐さんとともに、地域を考えるワークショップを通じて、下呂地域の課題や特性についての理解を深めました。
2日目は、朝から地域で暮らし続けている方との交流会からスタートです。有志の地域づくり団体の会長さんや、地域イベントを企画運営されている方など4名の方にお越しいただき、地元の生活の声を伺いました。
そして、エコツーリズムを下呂で実践されているニジイロワークスの熊崎代表から、その仕事内容や想いについてお話を伺い、意見交換。ちょっとでも下呂の自然に関心がある人たちに、どう訴えて、どう参加してもらうか、明日の発表に向けて貴重なヒントがたくさん得られました。
2日半で集めた多くの情報を用いて、午後からはグループで、この地域が住み継がれていくための地域になるための取り組みを考えていきます。
最終日の発表には、昨日お話しいただいた地域の方々や、下呂市の職員の皆さん、そして、下呂市の服部市長にもお越しいただきました。
最初のチームは、「下呂上原わくわくPRプラン」として、今回の活動拠点である下呂市上原地区から、下呂市の認知・体験→ 試住→定住へと三段階のステップを提案しました。最初の認知段階では、最近の若者の情報収取ツールであるインスタグラムを、実際にどう活用したら若者に響くのかを実例を通じて解説。さらに、体験、試住、定住へのプランを、「こだわり」を軸に展開しました。
次のチームは、「第2のふるさと」が切り口。気軽に帰ってこれる場所、仕事や生活に行き詰まった時に行ける場所づくりを目指します。学生や地元の方のアンケートを行い、新たにアプリを活用した、地域の方と都会の若者が助け合える仕掛けを考案。新しい信頼関係のつくりについて提案をしました。
3チーム目は、Iターンをターゲットにした提案です。下呂市出身ではない若者を呼び込むために、小学校の修学旅行や、中高生向けの地場産業職場体験プランを企画。自分たちが下呂に来て感じたことから、子どもたちに下呂市の魅力を知ってもらう体験につなげる発想は、他のチームにはない視点でした。
最後は、「下呂市でホームステイ!」をテーマに、20代をターゲットにした2泊3日のホームステイプランを提唱。単に田舎の家庭に宿泊するのではなく、就職説明会の開催など、具体的に移住生活につながるような3日間の過ごし方になりました。ホームステイ受け入れ先のメリットまで提示し、具体的に将来像が描きやすい提案になりました。
全チームの発表が終わり、参加いただいた皆さんからの講評。全チーム、甲乙付け難い高い発表だった。3日間の自分たちの体験を活かした提案だった。この地域にはない新しい視点の提案ばかりだったを嬉しい言葉をいただきました。