2020年2月3日から7日の5日間、社会福祉学部3年の荒井拓海さんが下呂市役所のオーダーメイド型インターンシップに参加しました。学生が学びたい要望に応じて受け入れ先にプログラムを作ってもらうこのインターンシップ。行政機関では初めての実施となりました。
今回、荒井さんの希望は福祉課。生活保護ケースワーカーの仕事に関心を持ち、大学で学びを続け、今回はその現場を経験したいと自らインターンシップに申し込みました。
5日間を終えたばかりの荒井さんに話を伺いました。
―5日間お疲れ様でした。いかがでしたか?
5日間毎日とても内容が濃く、正直、疲れましたが、とてもいい経験になりました。今から愛知県に帰るのが不思議で、このまま下呂市にいる方が自然に感じます。学びは想像以上でした。
―具体的にはどんな経験ができましたか?
最初に下呂市や福祉課、ソーシャルワーカーの仕事について説明を受けた後は、初日から支援対象者のご自宅訪問に同行しました。観光地である下呂市ならではの特徴があることを学ぶことができました。
―他にはどうですか?
5日間、毎日どこかには同行していました。ご自宅以外には、ケース会議や社会福祉協議会などの連携先、病院にも伺いました。実際に現場に行くことで、今まで大学の講義で受けてきたことが、「こういうことだったのか」と、頭だけでなく身体で理解できました。
―下呂市のイメージはどうですか?
率直な感想は、こういう所に住んだら楽しそうだと感じました。私の地元は2軒隣にどんな人が住んでいるかが分かりにくい、いわゆる都会です。今回、初めて地方で生活したのですが、近所の人が、お互いに知っていて、助け合いが自然にできることの魅力を感じました。大学の講義で学ぶ地域連携という言葉を実際に肌身で感じることができ、これが本来の「ふくし」の姿なんじゃないかなと思いました。
―地域のつながりも感じたのですね
はい。インターン期間は、地域おこし協力隊で下呂市に住んでいらっしゃる鈴木亘さんのご自宅に民泊させてもらいました。鈴木さんは古民家をボルダリングジムに改装されていて、宿泊中も地域の方がボルダリングに通われている地域の方とお話できました。
―どんな関わりがありましたか?
一緒にボルダリングをしたり、たこ焼きパーティーをしたり、地域おこし協力隊の会議にも参加させてもらいました。最初はホテルか民宿に泊まる予定だったのですが、民泊させてもらって本当によかったです。福祉課でのインターンシップ以外でこんなにも学びがあるとは思っていませんでした。
―卒業生とも会われたと聞きましたが、どうでしたか?
はい。公務員の仕事について、率直に包み隠さず感じていることをお話してもらいました。インターネットや説明会では絶対に聞けないような話もしてもらえたので、自分としては貴重でした。実際に働く前に、いろいろな面をできる限り知っておきたいのでよかったです。
―参加する前と後でどんな変化がありましたか?
この仕事をしたいという思いが強まりました。大きかったのは、自分がありたいと思う目指すソーシャルワーカーを実践されている方に出会えたことです。参加前は、ケースワーカーに辛いイメージしかなく、就くことに迷いがありました。でもインターンを終えて、この仕事を目指そうという思いが強くなりました。
―それはどうしてですか?
私は、相手の方としっかり関わっていきたいと思って勉強してきました。ただ、それは良い面も悪い面もあると、今回のインターンで学びました。それでも、それを実践されている地域、ワーカーさんもいると知れて、自分のソーシャルワーカーとしてのあり方が明確になりました。
〜編集後記〜
インタビューから、今回の5日間が荒井さんにとって、とても重要な時間になっていたと感じました。インターンシップでの学びはもちろんですが、地域と関わる、地域を知ることの大切さ。こちらも勉強になりました。
準備段階から運用まで尽力いただいた、下呂市役所、鈴木亘様、関係者の皆様、ありがとうございました。
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地域包括ケアシステム現場見学会開催
20年後の社会課題を検討
2020年2月6日(木)、岐阜市にある医療法人社団友愛会で『地域包括ケアシステム現場見学会』を開催しました。岐阜市長良の地で、120年以上ヘルスケアで地域の暮らしを支え続けてこられた友愛会。地域福祉に関心がある学生たちの期待が高まります。
岩砂病院・岩砂マタニティーから見学会はスタート。最初は、産科医で法人の理事長である岩砂先生のお話を伺います。ご自身の仕事観や法人のビジョンなど熱い想いを語っていただく岩砂先生。「誰に、何のために、何を提供していくか。その仕事の本質を考えて欲しい。」との言葉は、今後社会に出て働こうとしている学生たちにとって、とても重要な問いかけでした。
お話の後は、地域連携室の職員さんから実際の現場の仕事について説明を伺い、病院内を見学へ。実際のカンファレンスの場に同席させていただくこともでき、法人のビジョンをどのように現場で実現しているのかを体感することができました。
後半は、複合型施設『You&Iの森いわのだ』に場所を移し、実際の利用者さんの事例を用いながら、施設と地域について話を伺います。地域の方が、いつまでも住み慣れた土地で暮らし続けられるように、小規模多機能型の施設など設置。多世代が交流できる場所と仕掛けをつくり、その交流の輪を地域の輪に広げ、住みやすい地域をつくるための取り組みを学ぶことができました。
最後は、「20年後の社会資源を考える」をテーマに、職員さんも一緒にワークショップを行いました。昨年4月に入職した本学の卒業生も参加し、現在の「普通」が普通ではなくなり、時代が次のフェーズに移行する中、地域にどんな課題があり、どんな社会資源をつくれば解決できるのかを考えます。
過疎の加速や、ニーズ・言語・価値観の多様化、情報・健康格差など、学生たちからは様々な課題が挙がります。今回のワークは、その課題と、新時代のテクノロジーを用いて社会資源のアイデアを検討。コミュニケーションドローンや、ニーズを読み取る全自動バスなど、学生たちの柔軟な発想からたくさんの社会資源が生まれました。
新しい時代、新しい社会で、働き、生きていくことに対して、前向きに取り組む力をいただけた1日になりました。お忙しい中、準備からご対応いただいた友愛会の皆様、ありがとうございました。
〜参加学生の感想〜
・カンファレンスを実際に見ることで、どんなことが話されているのか、他の職種とどう関わっているのかを学ぶことができた。
・理事長先生の話を聞き、考えながら働くこのと必要性を感じた。
・これからの社会を考えるワークはとても勉強になった。
・MSW(医療ソーシャルワーカー)を目指していなかったが、患者さん本人の暮らしだけではなく、その家族の暮らしまで考える大切さを知って、興味がわいた。
・経営理念にとても共感でき、地域をつくっていく手伝いを改めてしたいと感じた。
教員職場見学会開催
活躍の場を知る
2020年2月3日に、岐阜県の特別支援学校教員が活躍する現場を知る「教員職場見学会」を開催し、岐阜県で特別支援学校の教員を目指す学生達が参加しました。見学に伺った先は、岐阜県立岐阜盲学校と、重症心身障害がい児施設すこやか(地方独立行政法人岐阜県総合医療センター内)の2か所です。
まずは、開校126年を迎える岐阜盲学校へ。日本福祉大学の大先輩である林亨校長先生に出迎えていただき、学校の成り立ちや歴史、現状についてのお話を伺いました。地域に開かれた学校を目指し、オープンキャンパスなどは、誰でも参加できる内容に。毎月、地域の方が学校の周辺の掃除を担当するなど、地域との深いつながりが感じられます。
後半は、こちらも日本福祉大学のOGである山田秀代教頭先生に学校内を案内いただきました。盲学校ならではの建物設計や生活ルールを伺いながら校内を見学。図書室では、触れる絵本や拡大鏡など、実際に体験しながら理解を深めました。
林先生のお話や現場の見学から、地域や社会に積極的に働きかけていく姿勢や実際の取り組みを学ぶことができ、学生たちの教員の職業理解が深まりました。
午後からは、重症心身障がい児施設すこやかの見学です。この日は、長良特別支援学校の訪問教育が行われていたため、早速その場に同席させてもらいました。皆で一緒にパプリカを合唱し、生徒さんも楽しんでいる様子。1対1で、生徒さんの反応を見ながら丁寧に関わられる授業の様子を間近で見学出来たことは、大変貴重な機会になりました。
授業の後は、卒業生で児童発達支援管理責任者をされている中村仁隆さんに、施設の見学と現在の取り組みや課題についてお話を伺いました。障がいがある子どもたちの支援について、現場からの想いを語られる中村さん。学生たちは、将来自分たちが担っていく仕事の意義や意味について、あらためて考えることができました。
今回の見学会を経て、教員の仕事について視野が広がったと同時に、岐阜で活躍する先輩方の働きに触れることで、岐阜県で働くことへの意欲も高まったようです。
お忙しい中ご対応いただいたみなさま、ありがとうございました。