【卒業生取材】コープぎふを訪問

想いをカタチにする。そのために、信頼してもらえる関わりをつくる

卒業生の活躍を取材する企画。今回は岐阜県本巣市出身の横山理沙(よこやまりさ)さん[2007年卒]にお話を伺いに職場を訪問しました。横山さんは、美浜キャンパスの社会福祉学部で学び、卒業後は岐阜県各務原市に本部を置く生活協同組合コープぎふで働かれています。ご家族も日本福祉大学の卒業生だとのこと。インタビュアーは、社会福祉学部3年の田口麻稀さんがつとめます。
━━これまでと現在のお仕事について教えてください
就職してすぐは、5年間配送トラックに乗って配達の仕事をしていました。岐阜県の西濃地域が私の担当で、毎日トラックを運転して、週に一度担当する各組合員さんの元へ、商品をお届けしていました。そしてその際には、組合員さんのご要望や想いを聴くことも大切な仕事でした。その後、人事部門に異動をして、6年間、新卒採用や人材育成に関わりました。現在は3度目の異動で、万が一の暮らしを守るための保障として、生協が扱っている保険商品に関わっています。組合員さんからの保険の相談や、加入申込書の確認、電話での対応など、これまでとは違い、内勤が多い仕事です。
━━就職してすぐの頃はどんなことが大変でしたか?
どんなに暑い日でも、雪が積もっていてもトラックを運転して商品を届けることです。でも、そうやって現場で働いたことで、自分が誰のために仕事をするのかがよく理解できました。私は就職1年目から3年目まで同じ配達コースを担当していたのですが、担当を離れる時に組合員の皆さんがプレゼントをくれたのです。無我夢中で頑張ってきたことが認められたのだと感じて嬉しかったのを覚えています。今でも、新人の頃にお世話になった組合員さんとはつながっていますよ。
 
━━職場ではどのような役割を担っていらっしゃいますか?
組合員さんの想いをカタチにするお手伝いです。例えば、今の仕事では、保険の保障内容を見直しているという組合員さんがいらっしゃれば、相談にのり、その方にあった保険商品を提案しています。組合員さんには、一人ひとりその方なりの想いが必ずあると日々実感しています。そして、皆さん、生協へいろんな期待を持たれているので、それをしっかり受け取って、カタチにするのが私の役割だと考えて仕事をしています。
━━この仕事をしてから、どのような力が身につきましたか?
相手の立場になって考えるクセが身につきました。生協の仕事は、地域に入り込んで、その土地で暮らす人たちの身近な存在として関わります。そのため、誰のために働いているかが見えやすく、自然と相手の立場で考えることができるようになっていきました。また、発信する力も身につきましたね。みなさんそうだと思いますが、誰かわからない人に心は開かないと思います。まずは、私という人間を知ってもらい、「横山さんなら話ができる」「横山さんが勧めてくれる商品なら安心」と信頼される関係をつくる。自分や商品のことを発信していくうちに、なにを、どう発信したらいいかが見えてきました。
━━岐阜で働こうと思った理由を教えてください
大学で地域のくらしをより良くするためにどうしたらいいかを学んでいて、地域と関わる仕事をしたかったからです。大学で学んだ『ふだんの、くらしの、しあわせ』を実現させたいと考えた時に、地域に関わるなら自分が愛情を持っている岐阜県だと思いました。
その中でも今の職場を選んだのは、より地域に身近なところで、そこで暮らす人たちのくらしに関わって働きたいと考えた時、このコープぎふの仕事が一番合っていました。
 
━━働いてから感じた地域の魅力はありますか?
人の温かさです。配達をしていた頃には、夏の暑い時は、冷たい麦茶やお菓子を出してくれたり、配送トラックが雪で動けなくなった時に、地域の方がすぐに駆けつけて助けてくれたということもありました      。本当に皆さんの温かさに支えられて仕事ができていたと思います。あとは、各地域それぞれに特色があり、それぞれの地域ごとにまとまりがある気がします。人と人のつながりも濃いですね。色んな方のくらしがあり、くらしがあるから想いがある。そこに触れることが地域で働く楽しさなのではないかと私は感じています。
このお仕事の魅力ややりがいはどのようなことですか?
組合員さんの存在自体がこの仕事をする上での魅力でもあり、やりがいにもつながっています。「生協のあの商品、美味しかったよ」と言われると、喜んでもらえている、役に立てていると感じ、嬉しくなります。普段から組合員の皆さんに、本当に良くしてもらっている。だから、私も「仕事だから」というより、「この方たちのために出来ることをしたい」という気持ちになれます。「生協さん」「お姉さん」ではなく、組合員さんに名前で呼んでもらえた時は、一人の人間として受け入れてもらえたようで嬉しかったです。
それと、ここには自分がやりたいことが出来る環境があります。組合員さんとの関係の作り方はみんな違ってその人なりの工夫ができる。地域で配達の仕事をしていた時も、思うようにいかず悩むこともありました。でも、自分なりの関わり方を見つけていく中で、「あなたのおかげで生協を利用することが楽しくなった」と言ってもらえたり、ご家族皆さんが私のことを知って、親しみを持ってもらえたりして、自分がやってきたことは間違っていなかったと、強く感じた記憶があります。
 
最後に地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。
岐阜を好きな気持ちを大切にしてほしいです。その気持ちを持つことが、地元就職につながる一番の近道であり、要になるとお思います。また、一度、自分の家族や近所の人が、どんな仕事をしているか、実家の周りにどんな会社があるのか調べてみるのもいいかもしれません。意識して見ていくと、実は岐阜にもステキな会社や仕事がたくさんあります。就職活動は、そうやって地域や世の中を知る良い機会です。大変なこともあるとは思いますが、自分の人生にとって、とても貴重な時間になるはずなので、皆さんなりに楽しんでくださいね。
〜インタビュアーの感想〜
このインタビューを通じて、就活に対する見方・考え方の幅が広がりました。私はこれまで、福祉分野での就職しか考えていませんでしたが、企業で働く卒業生の方にお話を伺ってみて、仕事のやりがいや楽しさを感じることができました。また、大学で学んだ福祉も様々な場面で活かされているということを知りました。地元で働く魅力について、実際に働いている先輩から聞くことができ、これからの就活にいかしたいと思います。

社会福祉学部社会福祉学科 田口麻稀