【卒業生取材】飛騨慈光会を取材

子どもたちが一人の人間として社会に出ていけるように

卒業生の活躍を取材する企画。今回は岐阜県恵那市出身の八澤菜見子(はちざわなみこ)さん[2015年卒]にお話を伺いました。八澤さんは、美浜キャンパスの社会福祉学部で学び、保育士の資格を取得。現在は高山市の社会福祉法人飛騨慈光会が運営する児童養護施設夕陽ヶ丘で児導員として働かれています。インタビュアーは、社会福祉学部3年の服部真子さんがつとめます。

━━現在はどのようなお仕事をされていますか?

子どもたちと一緒に生活をすることが仕事です。私が担当している施設は小規模ホームです。ここでの勤務は宿直勤務が基本となるため、14時に出勤して翌朝10時まで、子どもたちが学校から帰ってきてからの生活を見ています。また、入学式や保護者面談などの学校行事の参加や、保護者の支援も大切な仕事です。

━━保護者の支援もされるのですか?

子どもたちが、親元に帰ることが一つの目標です。ここには、様々な事情から親と離れて生活をしなければならなくなった子どもたちがきます。ご家族のお仕事の都合や体調の変化など、それぞれのご家庭ごとに事情があります。そのため、ご家族に対して、子どもたちが家に帰って一緒に生活していくための支援も必要になってきます。一人で対応するのではなく、他の職員と共有して皆で一緒に対応をしています。

━━この仕事の役割はどのように感じていますか?

一言で言うと「親」なのですが、一線は引いています。ホームの子どもは6人と少ないため、より家族に近い生活になりますが、それでも、ここではご家族と暮らすことができるまでの「親代わり」なのだと思って愛情を注いでいます。生活の役割分担は子どもたちと話し合って決めています。なんでもやってあげるのではなく、将来、子どもたちが自立した生活を送っていけるよう、一緒に暮らしながら生活のトレーニングをしていくことも私の役割です。

 

━━どのようなことに気をつけて働かれていますか?

子どもとの距離の取り方です。最初の頃は距離が近すぎて、子どもたちがすることをなんでもOKで済ませてしまっていました。でも、そうすると子どもたちが育たなくなると先輩から教えてもらいました。でも、意識すると距離が遠くぎこちなくなってしまうので、その子との距離を見極めながら、関係を作ることを大切にしています。

━━この仕事をしてから、どのような能力が身につきましたか?

待つことができるようになりました。最初の頃は、子どもたちが自分でやろうとしていることに手を出してしまっていましたが、今は、待って見守ることを意識しています。これは、子どもたちのことをよく理解できるようになったのだと思います。ウソもすぐに見抜けるようになりました(笑)。叱り方も、以前はすぐに感情的になってしまっていましたが、今は、その子に合わせて、一呼吸置いて伝えられるようになりましたね。そうやって関わっていくと、子どもたちも私のことをわかってくれるようになってきました。

この仕事のやりがいはどのようなことですか?

やりがいはありすぎます(笑)。一つは、子どもたちの笑顔。これはなににも変えられませんね。あとは、成長した姿が目に見えることです。ここでは、原則18歳になったら退園しなければなりません。限られた時間の中でどうやって子どもたち一人ひとりを育てていくかを考えます。子どもが自身の言動で、私のことを傷つけたなって振り返っている姿を見ると、成長したなって嬉しく感じ、私ももっと頑張ろうと思えます。退園した子が元気な顔を見せにきてくれることも嬉しいですね。

━━岐阜で働こうと思ったのはどうしてですか

今の職場があったことは大きいです。大学入学当時は、高齢者福祉に関わりたいと思っていました。でも、ある時、虐待のニュースを目にして、児童分野に関心を持つようになりました。それから、いろいろな養護施設に見学や実習にいきました。そして、社会福祉士の実習でこの夕陽ヶ丘にきた時に、自分が進みたいと思う方向にぴったりだったのです。自分が職員になって働いた時の姿が想像できました。祖母が、高山市に住んでいたということもあって、親しみがある土地だから安心感がありましたね。

━━働いてから感じた地域の魅力はありますか?

地域の連携が強いことです。子どもたちのことについて、施設まかせではなく、子ども相談センター(児童相談所)や学校など、地域皆で連携して子どもの支援をしています。また、夏には学校の先生たちと施設の職員が集まり、情報交換をする交流会をおこなっているので、お互いに相談しやすい関係ができています。さらに、最近ですが、子どもに関する職に就く若者が集まる「若手部会」ができました。ここでは、子ども相談センター、社会福祉協議会、施設職員などが一堂に集まって、ざっくばらんに話し合っています。地域でこのようなつながりができると、みんなで力を合わせてやっていこうという流れになり、働きやすいです。

最後に地元就職を目指す後輩へのメッセージをお願いします。

岐阜は地域も人も温かくていいですよ。特に高山はそれを感じます。この小規模ホームが始まった時も、近所の方が色々と手伝って助けてくれました。子どもたちの声がうるさくても、「うるさいのが子どもの仕事だ」と受け入れてくれます。このような地域で働き、いろいろな人とつながれて、高山に来て良かったと感じています。ぜひ、この岐阜県でやりたい仕事に出会ってください。

〜インタビュアーの感想〜

今回の取材で最も印象に残っていることは、高山市のすごさです。何かあるとすぐにケース会議が行われたり、年に1回子どものことについて交流会があったり、年に2回子相(児童相談所)とのケース会議が行われたりと、施設と行政、学校との連携がとても強いということが分かりました。また、子相若手部会との交流もあり、子相との関係を築ける場もあるということを知りました。高山ならではの「みんなで力を合わせてやろう」という精神であり、私はとても素敵で魅力を感じました。今回の取材を通して、より地元である岐阜県で就職したいという気持ちが強まりました。

社会福祉学部社会福祉学科 服部真子