岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブック作成企画の取材。今回は、岐阜県中津川市にある児童養護施設「麦の穂学園」に伺いました。昭和33年、故藤井篤太郎氏から建築物の寄付を受けたことに始まり、施設の増築、改修を経て現在の定員は50名。子ども家庭支援センター麦の穂や乳幼児ホームかがやきも新設され、乳幼児から児童まで支援できる体制をとり、東濃地区の児童福祉地域センターとして機能されています。
今回取材のインタビュアーを務めるのは、社会福祉学部3年の原奏恵さんと、子ども発達学部3年伊藤つかささん。麦の穂学園の横川聖園長から園の方針を伺いながら、施設を案内していただきました。取材日は春休みということもあり、子どもたちが元気に遊ぶ姿が見られました。
一粒の麦は地に落ちて多くの実をつける。自分が成長することでより多くのことを世の中に与えるという想いが込められた「麦の穂」学園。その特徴は、乳児院、養護施設、家庭支援センターの3つが併設されていることです。乳児期から関わることで、子どもたちが施設での生活の中で、自分が大切にされてきたことを振り返ることができることは、子ども達の成長に大きく影響を与える。だから乳幼児期には特に手をかけて接するようにしているとの方針を伺いました。
また、3施設の職員が一緒に研修を受け、情報共有の場を定期的に設けることで、法人全体として様々な視点から子どもたちやその家族に関わっていけることもメリットになっているとのことです。
敷地内全体と、乳幼児ホームかがやきを見学した後は、改めて横川園長へインタビューを行いました。
――生活のルールはどのように決められていますか?
子どもと大人と一緒に話し合って決めています。子どもたちは、小学校、中学校、高校と自治会があり、長期休み中の過ごし方などを主に話し合っています。また、子どもたちからの要望があれば、その都度部会を開いています。例えば、以前は、高校生のお弁当は子どもたちが当番制で詰めていたのですが、話し合いの結果、現在は各自で詰めて持っていくルールになっています。
――子どもたちの意見はどれくらい取り入れていますか?
やりたいことがあれば、職員も一緒になって自由にやっています。先月だと、バレンタインデーのチョコレートを作りたいという声があったので、一緒に作っていました。私たちの仕事は、子どもたちの生活の場を支えています。そのため、様々な行事を通じて、同じ体験をし、子どもの感情を大人が一緒に感じることを大切にしています。また、子どもの「やりたい」を応援し、それを形にすることで、子どもたちが自信を持つことができます。
――情報共有はどのようにされていますか?
全ての職員が参加して顔を合わせて行なっています。特に、炊事係の職員の情報は大きいです。子どもの生活の変化は、朝ごはんを食べない、お弁当を詰めに来ないなど、まず食に現れます。その様子を共有することで、いち早く子どものサポートが行えています。私自身も、朝はできる限り一緒に食べるようにしています。
――子どもたちと関わる時にどのようなことを大切にされていますか?
本気で関わることです。入り込みすぎると客観性がなくなってしまう危険もありますが、それでも、子どもたちに、「ここで過ごして良かった」と本当に思ってもらえるために、真剣に本気で関わります。だから、卒園の時は、旅立つ嬉しさはありますが、寂しさもあり、複雑な想いになります。
――家庭支援センターはどのような役割を担っていますか?
様々な人や機関の間に入り調整を行います。最近は国の方針もあり、里親さんとの関わりが増えています。支援センターが施設と里親さんの間に立つことで、里親さんが施設に直接言いにくいことも支援センターになら話せることも多いのです。間に入りクッションの役割を果たすことで、誰かが傷つくことを避けることができます。
――施設としての役割はどのようなことですか?
専門家としての支援を行うことです。例えば、病気や怪我で入院した際は、医師や看護師などの専門職が連携して患者を支えます。ここも同じで、様々な要因で心が傷つき、社会的に苦しい状況の子どもや家族を、社会福祉士や保育士、心理士などの専門家が支えていく場所です。
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――この仕事の醍醐味はどのようなことですか?
子どもを通じて自分が磨かれることです。子どもたちは、関わる相手によって「表す自分」が異なります。そのため、私たちがそれぞれの子どもにとって、どのような存在でいるのかをいつも振り返らされます。子どもたちはたくさんの可能性を持っているため、私たちも一緒に多くの経験ができます。また、この仕事は、結果がすぐに見える仕事ではありません。そのため、自分の仕事のやり方に「これでいいのだろうか」と不安を抱えやすくなります。それでも子どもたちに関わり続けていくために、職員がチームとなってお互いに認め合いながら子どもたちを支えています。
お忙しいなか、取材にご協力いただいた麦の穂学園の皆様、ありがとうございました。
事業所の取材は今後も続きます。関心がある方は、gifuinfo@ml.n-fukushi.ac.jp星野まで連絡をお待ちしています。
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平成29年度岐阜大学地域協学センターシンポジウムで学生が報告!
平成30年3月23日(金)、岐阜大学地域協学センター主催の「『地域活性化の中核拠点』を目指して」というテーマで開催されたシンポジウムで、これまでの取組みの成果が報告されました。
その中で、参加大学の学生活動報告が行われ、本学から岐阜県中津川市出身の社会福祉学部の原奏恵さんが、「私がCOC+の活動で得た財産」というテーマで報告を行いました。
原さんは、他大学の学生とともに参加した合宿型研修「サマースクール」や「多職種連携現場体験会」などの活動を通して、他大学の学生や教員・地域で活躍する専門職の方との交流の中からたくさんの学びを得ることができたことを報告しました。
卒業後、Uターン就職を考えている原さんに対して、中津川市役所の職員の方が「是非、戻ってきて」と声をかけてくださいました。
日本福祉大学のCOC+の取り組みは、学生の学ぼうとする力、学んでいく力を大切にしています。今後も様々な取り組みが予定されていますので、ぜひご参加ください。
第2回多職種連携現場体験会開催!
多職種連携の最前線で学ぶ
平成30年3月27日、地方独立行政法人岐阜県総合医療センターと共催で、第2回多職種連携現場体験会を開催し、3学部22名の学生が一堂に会して学びを共にしました。
昨年夏に実施し、参加した学生の皆さんから大変好評であった現場での多職種連携体験会。前回は半日で実施しましたが、参加したみなさんから「もっと学びたい!」「時間が足りない!」とご意見いただき、今回は時間を丸一日に拡大して行いました。
まずは、今回のテーマである「重症心身障がい児と家族の支援」に関わる重症心身障がい児施設「すこやか」と、病院の取り組みについての基礎講座を受講後、現場の見学へ向かいました。
現場見学は、ヘリポートからスタート。岐阜県唯一の子ども病院である岐阜県総合医療センターには、県内だけでなく県外からドクターヘリで搬送されることもあるとのこと。
次に、午後の研修にもつながるNICUとすこやかの現場を見学しました。多職種が連携している現場を自分の目で見ることで、より連携の大切さを感じることができました。すこやかでは、利用する方やご家族が少しでも過ごしやすいようにと、スタッフの皆さん手作りの制作物がたくさん飾られており、暖かい雰囲気が伝わってきます。
午後からは、いよいよ多職種連携の体験ワークです。社会福祉学部の山口みほ先生と健康科学部の小嶌健一先生にも参加いただきました。
今回は、カンファレンス形式で多職種連携を体験。支援の流れの中で、それぞれの職種がどう関わっていくのかを体験し考えるために、2回の模擬カンファレンスを実施し、支援の流れについて学びました。
事例は、重症心身障がい児とその家族をどう支えていくか。実際に働いている専門職向けの研修で用いられた事例だけあって、大変難易度の高い課題。最初はどうしていいかわからない学生たちも、これまで学んできたことを出し合いながら、それぞれの立場でどのような支援ができるか、どう連携できるかを考えていきます。
すこやかで働く保育士さん、看護師さん、児童発達支援管理責任者の方に相談し、情報をもらいながら支援を考えていくことで、多職種の連携はもちろん、支援にとって大切なことについての学びも深まりました。
最後に、それぞれのグループから家族をどう支えていくか、1日の成果を発表しました。学生からは、「家族の話をまずはしっかりと聴く」「家族にきてもらうのではなく、こちらから出向いていく」「自分たちだけで抱えず、他の専門家と家族をつないでいく」などの支援方針が発表され、参加された職員の方や先生方から好評をいただきました。
他学部の学びを知れること、他職種の視点に触れることで、それぞれがが目指している職業の幅も広がっていったようです。
今回の体験会開催にあたり、お忙しい中、何度も打ち合わせを重ねて準備をいただいた岐阜県総合医療センターのみなさま、また、プログラムについて助言いただき、当日ファシリテートをしていただた先生方、ありがとうございました。
〜参加学生の声〜
・保育士を目指す学生とカンファレンスをすることは初めてであったが、自分にはない考え方や関わり方を持っており、職種それぞれの思いや考え方を共有することの重要さを改めて感じた。
・これまで一つの分野の専門職しか学んでこなかったが、この企画を通じて違う職種の視点から意見を聞けたことが刺激的だった。
・多職種で連携していくことによって、こんなにも人々の生活に幅を与えていけるのだと思った。まだまだ知らないことが多いため、制度等を伝えていく必要があると感じた。
・MSWだけでは解決できないこと、他の専門職との連携を学ぶことができた。また、重身障がい児の勉強をしてからのカンファレンス体験だったので、イメージしやすかった。
学内企業説明会開催!
平成30年3月14日〜20日に日本福祉大学の学内企業説明会が開催され、岐阜県内から14の事業所に参加いただきました。
3月1日に解禁したばかりの新4年生の就職活動。岐阜県での就職を希望している学生たちは、それぞれの教室を回りながら、事業所の説明に聞き入っていました。
岐阜県で活躍している卒業生も何人か来ていただき、学生たちも自分たちが目指す姿が明確になった様子です。
また、今回は岐阜県社会福祉協議会の山下様に、福祉人材センターへの登録と相談をご対応いただきました。学生たちのニーズを聴きながら、県内の福祉事業所の情報をたくさん提供いただいた事で、学生たちの不安げな表情が明るくなっていきました。
各キャンパスの岐阜キャリア相談コーナーでは、岐阜県内の事業所の情報がたくさん集まっています。先輩たちの就職活動を取材した内定者インタビューの記事もたくさんありますので、今後、岐阜県内への就職を考えている学生さんはぜひ活用してください。
(敬称略)
事業所取材企画、内堀醸造株式会社訪問!
岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブック作成企画の取材。今回は、岐阜県加茂郡八百津町にある老舗お酢メーカー内堀醸造株式会社に伺いました。明治9年に八百津の地で創業。「酢造りは酒造りから」の理念通り、酢の元となる酒造りからこだわりをもち、高い生産技術と原材料から一貫した生産体制をとり、高品質の商品を造り続けられています。
今回取材のインタビュアーを務めるのは、国際福祉開発学部3年の町野紗希衣さんです。完成したばかりの新社屋で総務課長の浅川和也さん、入社2年目の渡邉雅さんに会社概要と、お酢の説明をうかがい、早速製造現場を案内していただきました。
まずはお酒作りの工程を見学。内堀醸造では、お酒の原材料となる米の精米から自社内で行われ、製麹作業にもより良い品質に向けた工夫がなされており、基本理念を大切し実現されている様子を、現場で感じることができました。
続けて、お酢作りの建物に入ると、周りはお酢の香りが広がります。品質管理や生産管理の現場も見学し、働いていらっしゃる方の様子を真近で見ることで、インタビュアーの町野さんも働くイメージを持つことができました。
最後に、新社屋の中も案内いただき、改めて浅川課長と渡邉さんへインタビューを行いました。
――なぜ、この地で事業を行われているのですか?
創業者の生まれの地であることも一つですが、この地で行う理由は他にもあります。それは、品質がいい酒作りに必要な、「綺麗な水」「澄んだ空気」これが揃っていることで、もう一つ大切な基盤である「微生物」にとって住みやすい環境であることです。そのため、製造工場は、ここと長野県のアルプス工場ともに、微生物にとって良好な環境を選んでいます。
――お二人が感じている御社の魅力はどんなところですか?
自分で働いている、生きている、と実感できることです。当社では、社員1人ひとりの成長が組織の成長につながると考え、個人のキャリア形成を意識した人材育成に取り組んでいます。専門的な資格の取得や技術の向上など、個人の能力を高め、社外でも活躍していける人材になってもらうことで、その人の人生が充実し、会社にとってもメリットが出てきます。そのために、社内では様々な仕事に関われるチャンスがたくさんあり、充実を感じながら仕事をすることができる環境が魅力です。
――渡邉さんが、ここで働こうと思われたのはどうしてですか?
ユースエールの認定も受けており、女性が働きやすい環境が整っていると思ったことが最初のきっかけです。実際に働いてみると、率直に楽しいですね。私の仕事は総務ですが、仕現場との距離が近く、年齢層も若い社員が多く活躍しているため、わからないことをその場で現場に行って、見て、理解してから仕事ができます。働いていくうちに、もっと自分から動いてみようと思えるようになりました。
――続けて渡邉さんに質問ですが、印象に残っている仕事はありますか?
商品包装の変更に携わったことです。ある商品の包装袋の見直しを任されました。最初は頼まれた仕事だったので前向きではなかったですが、業者様との打ち合わせや社内で検討を繰り返し、やっと新しい素材が決まりました。素材を変えたことで、現場の人たちから仕事がしやすくなったとお礼を言われた時は、本当にやってよかったと感じました。
――社長はどんな方ですか?
気さくで優しい人です。いつも社員と同じ目線で、同じ席で仕事をしており、自ら周りに声をかけています。できるだけ社員みんなで目標に向かってやっていこうというスタイルでおられるため、みんなが社長に悩みや迷い、意見を言える関係です。
――今後の御社のビジョンを教えてください?
新社屋ができ、研究や開発にはこれまで以上に力を入れていく方針です。創業140年ですが、今後も選ばれ続けるメーカーであるには、時代のニーズに合わせて、変化をしていく必要があります。また、組織として大きくなって来たため、個の力を高め、役割分担をして、さらに組織の力を強めていこうとしています。
今回の取材では、お二人のこれまでのキャリアについてもお話を伺えたことで、会社の理解だけではなく、社会人として働く上で大切な姿勢についても学ぶことができました。
年度末と新年度の準備で忙しいなか、学生の将来のためにとお時間をいただいた内堀醸造の皆様、ありがとうございました。
事業所の取材は今後も続きます。関心がある方は、gifuinfo@ml.n-fukushi.ac.jp星野まで連絡をお待ちしています。
高山障がい者就労支援事業所インターンシップ
共に働き、共に学ぶ
子ども発達学部の野口航暉さんが、高山市の特定非営利活動法人はたらくねっとでインターンシップを行いました。
はたらくねっとでは、「あたりまえ」を理念として、障がいを持っていても働きたいという思いのある方の為に、就労に向けての生活リズムを整えていきながら、自立にむけての知識、能力、マナーなどを訓練、指導しながら就労を目指す支援をされています。
野口さんは、昨年夏に農業体験「ワーキングホリデーin飛騨高山」に参加した際にはたらくねっとの取り組みを知り、農業と障がいがある方の就労支援を現場で学びたいと考えるようになりました。
今回は、野口さんの要望に応じて3日間のプログラムを考えていただき、障がいを持った方と一緒に働きました。
初日の自己紹介では、少し緊張した様子の野口さん。しかし、すぐに皆さんから暖かい言葉をかけていただき、緊張がほぐれます。
さっそく、お土産品の梱包や農産品の選別の作業を行いながら皆さんと交流。作業を教えてもらいながら、会話を通じて皆さんのことを知っていきました。
2日目以降は、施設外へも一緒に出かけ作業を行って来ました。スタッフの皆さんの支援を目で見て体験しながら、学ぶことができました。
〜参加学生の感想〜
慣れて来た頃に終わってしまったので、もっと長い期間取り組みたかったです。現場で、一緒に作業することで、スタッフの方の関わりも見ることができ、勉強になりました。皆さん一生懸命な方ばかりだったので、こちらも頑張ろうと思います。
子ども発達学部 野口航暉
事業所取材企画、株式会社美濃庄訪問!
岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブック作成企画の取材。今回は、岐阜県岐阜市にある株式会社美濃庄に伺いました。明治21年に岐阜市で布団屋として開業し130年。介護保険制度がはじまる前から介護用品のレンタルを行い、現在も地域の方が暮らしやすくなる生活環境を提供し続けています。
今回取材のインタビュワーを務めるのは、社会福祉学部3年の西脇里保さん、経済学部3年井川裕揮さんです。本学の卒業生、入社6年目の上原将司さん、7年目の堀友美さん、1年目の西村知哉さん3名へのインタビューから本日はスタート。
――どんなお仕事をされていますか?
私たち3名は営業です。営業といっても、世間の営業のイメージとはだいぶ違うと思います。利用者さんのご自宅を訪問して、その人に合った福祉用具を選んだり、実際に使ってもらってモニタリングをしてもらったりします。ケアマネージャーの方とも連携をして、利用者の方が福祉用具を通じてより暮らしやすくなるお手伝いをしています。
営業をしに訪問するというよりは、自分の祖父母の家を訪ねているかのように、暖かく迎えてくれる方が多いです。
――1年目の西村さん、どのくらいで仕事に慣れていきましたか?
まだ、十分に慣れたとは言えないです。4月から始めて、最初は上司や先輩と一緒に営業に行きましたが、4ヶ月ごろから独り立ちをして、1年が経ちやっと少し慣れてきたと感じます。独り立ちした頃は、うまく話せなかったので、移動の車の中などで落語を聞いて、伝え方の勉強をしていました。まだ勉強中です。
――仕事で大切にされていることはなんですか?
スピードは大切にしています。何かしらの困りごとを抱えている方のためにこの仕事があるので、少しでも早く対応することで喜んでもらえます。また、いかに納得して使ってもらうかも大切です。相手のニーズをしっかりと汲み取って、最適なモノや情報をいかにわかりやすく相手に伝えるか。相手の状態を見ながらコミュニケーションをとっています。
――仕事のやりがいはなんですか?
自分の仕事によって、利用者の方の暮らしや状態が良くなっていく姿を見ることがやりがいです。人対人の仕事なので、思うように行かないこともありますが、相手のことを考えて、苦労して、最後に「良かった」と言ってもらえることほど嬉しいことはありません。
――職場にはどんな魅力がありますか?
性別に関係なく働き続けられる環境が魅力です。結婚しても、出産しても、子育てをしていても、仕事が続けられる環境になってきました。自分の働き方次第で、休みの調整もできるので、平日の子どもの行事にも参加がしやすいです。
また、営業はチームでおこなっているので、上司や先輩に相談がしやすい環境です。その日の悩みはその日のうちに解決できるので、即仕事に活かしやすいです。
――御社ならではの強みはありますか?
岐阜市内では特にですが、創業からの歴史が長いため、地域からの信頼は厚いと感じています。布団屋ならではのノウハウを生かして、マットレスなど、自社にしかない商品も扱っています。さらに、新しい福祉用具の勉強会も定期的に行い、どの用具を扱っていくかを自分たちで決めることができます。利用者のニーズを直接聞いてくる営業が、自分たちで商品を選べることは、より、その方に合ったサポートを行うことができます。
――今後の展望を教えてください?
今行なっている事業はまだまだ拡大の余地があるので、伸ばして行きたいです。中小企業なので、今後何でもできる、小回りがきくことは大きな強みです。また、社長の想いを、もっと社員で共有して受け継いで行きたいです。社長がこの福祉用具事業を始めた想いは、涙なしで語れません。私たちの仕事は、人生の最期をよりよく迎えてもらうためのお手伝いでもあります。もっと多くの方のお手伝いができればと思って皆が働いています。
インタビューを終えて、総務部の長屋さん、尾張事業所の松原さんに本社と岐南工場の現場を案内いただきました。福祉用具の整備や洗浄など、すべて自社内で行なっているため、利用者に安心して使ってもらえる商品を、自信を持ってお届けできる体制が整っています。初めて見る福祉用具整備の現場に、二人のインタビュアーも関心が高まっていました。
お忙しいなか、熱心にお話いただいた美濃庄の皆様、ありがとうございました。
株式会社美濃庄様は、3月16日の学内説明会にもお越しいただきます。直接話を伺いたい方は、ぜひ美浜キャンパスまでお越しください。
事業所の取材は今後も続きます。関心がある方は、gifuinfo@ml.n-fukushi.ac.jp星野まで連絡をお待ちしています。
福祉の事業所見学会開催!
平成30年2月28日に、COC+参加大学共通プログラム「福祉の事業所見学会」が開催されました。
今回見学した先は、2事業所。
最初に訪れたのは、歴史ある岐阜市川原町の街並みで、現代に必要な「本物の福祉」に取り組まれている法人、社会福祉法人髙佳会の生活密着型高齢者福祉拠点「粋いき・金華の元気館」です。
まずは施設内の見学からスタート。屋上に上がり、金華山と長良川を目の前にした景色は岐阜を感じます。
1階に移動し、デイサービスにいらっしゃった利用者の方達と交流をしました。みなさん、とてもいい笑顔でで迎えていただき、施設の雰囲気の良さが伝わってきます。
施設見学のあとは、髙田良彦理事長から、これまでの日本社会の課題や背景をもとに、法人の沿革や理念についてお話を伺いました。
目の前の人が大切にしている「もの」「こと」「考え方」を把握して大切にする関わり。これが、法人の大切にしている想いだと語られる髙田理事長からは、「本物の福祉」に通じる想いの強さを感じました。
次に訪問したのは、障がいがある方一人ひとりが社会の中で役割を持ち、地域と共に様々な活動をされている社会福祉法人いぶき福祉会の第二いぶきです。
地域に障がい者の居場所がなかった時代。24時間365日、この地域で障がいのある方が活き活きと生活できる場所を作っていこうと始まった法人の流れを森洋三施設長から伺いました。
いぶき福祉会では、職員も利用者も一緒に仕事をする「なかま」と呼び合っています。参加した学生も今日はなかまの一員に入れてもらい、一緒に働きました。
世界で一つしかない染物をストーリーと共に伝える「百々染」では、染料の調達を。地元の食材を利用したジャム「りすのほっぺ」の部屋では、ジャム作りを。他にも、紙すきやお菓子の袋つめなど、一つ一つのブランドが育てられてきた現場を体験しました。
どんな障がいがあっても、働いて、社会で役割を果たして欲しい。仕事の価値を高めて、なかまに誇りを持って欲しいという法人の想い。仕事を通じて人と地域と社会が繋がっていく様子を目にすることができました。
〜参加学生の声〜
- 施設内の職員だけでなく、他分野の職業と連携することが大切だと学びました。
- 利用者を大切にすることは、その意思や価値観を尊重することだと学びました。
- 一人一人に合わせた仕事の割り振りや接し方が行われていてすごいと感じました。
- 仕事と地域をつなぐ手段は一つでなはないとわかりました。
- 仕事の楽しみは自分で作れると思いました。
- 自分が楽しいと思って接すると、誰でも気持ちは伝わると感じました。
今年度の見学会は今回で終了。次年度も岐阜県内各地域の優良企業を訪問する企画が開催されますので、ぜひご参加ください。
事業所取材企画、障がい者支援施設伊自良苑訪問!
岐阜県の魅力ある事業所を紹介するガイドブック作成企画の取材。今回は、岐阜県山県市にある社会福祉法人同朋会の自閉症援助施設「伊自良苑」に伺いました。伊自良苑は、昭和62年に知的障がい者の入所施設として始まり、その後、地域や親御さんからの声に答え、平成4年に岐阜県では初めての自閉症者専門棟を増設。平成12年には、法人下では2つ目となる知的障がい者の入所施設「生活の家桜美寮」を開設すると共に伊自良苑は全館自閉症者施設へとリニューアルされ、県内の自閉症療育、生活支援の拠点としての役割を担っています。
今回取材のインタビュワーを務めるのは、社会福祉学部3年の岡田美咲さん、子ども発達学部3年野口航暉さんです。
初めに、伊自良苑の林信宏施設長から施設の概要や成り立ちについて説明を伺いました。伊自良苑では、利用者が地域の中で生活ができるように、施設で力をつけて地域のグループホームでの自立した生活までステップアップする体制ができています。そのために、生活する棟と働く棟が別れており、一般の社会と同じように、日中は働きに出かけるという流れができています。仕事面でも、生活面でも、その人が持っている強味を活かして、自立に向けた力をつけていける仕組みが整っています。
お話を伺った後は、伊自良苑内から施設の見学です。先ほど説明を受けた自立のステップを、順番に見ていきました。日常生活の様子や活動の内容、利用者さん個人の特性について、現場で伝えていただいたことで、学生たちの理解もさらに深まっていきます。施設内を回った後は、伊自良苑の外に出て、グループホームや大森作業棟、そして高齢・最重度の知的障がい者が利用されている「生活の家桜美寮」を訪問しました。
伊自良苑の理念は、「『ひと』として生きることを共に共感しつつ・・・」。現場では、職員も利用者もなく、一緒に生活し、それぞれが得意なことを理解し合い、補い合って働いている姿が随所に見られました。もちろん、最初から全てが順調に進んできたのではないとのこと。理念のもとに、全員で一緒に乗り越えてきた。一緒にやっていくことで、信頼関係ができ、全体の力がついてきたのだと、林施設長から教えていただきました。どんな困難な時でも「ひと」がいる。「ひと」だから大変さも一緒に感じられる。「ひと」だからこそ何とかやっていけるのだという言葉を、インタビュアーの2人は真剣な表情で聞き入っていました。
見学を終えて、案内いただいた林施設長、鈴村副主任、笠井副主任へあらためてインタビューをおこないました。
――職員さんはどんな方がいらっしゃいますか?
地元の方だけではなく、他の地域出身の方も働いています。また、年齢層や経歴も幅が広く、皆がこれまでの経験を活かして働いています。利用者を障がい者としてではなく、1人の「ひと」として接して相手からいろんなことを教えてもらい、一緒に喜びを感じて成長してきたという感じがあります。先ほど現場でも見てもらった通り、職員か利用者かわからないような関係の中で、人として成長している職員たちです。
――どんな経験が活かせますか?
どんな経験も活かせます。利用者との関わりは、生活や仕事、余暇の支援など幅が広く、多方面の知識や経験が必要となるため、多くのことが活かせる仕事です。例えば、余暇支援でおかし作りや料理を作るときに、飲食店でアルバイトをしていた経験が活きてくることもあります。また、利用者だけではなく、外部の関係者や業者さんと関わることも多いため、人との関係性は大切です。
――働く上でのやりがいは何ですか?
やりがいというか、仕事を退屈だと感じたことは1日もないです。毎日違った変化があり、同じ日はありません。その中で、こちらが思ってもいなかった成長に出会えることもあり、そのことが自分たちの成長にも繋がっています。こちら側が、「この人はこういう人だ」とレッテルを貼ってしまうと相手の人生はそこまでになってしまいます。そうではなく、可能性を信じて接していくことで、いろんなことを教えてもらえます。人としての在り方や、生き方までも考えさせられますね。まだまだ途中であり、一生日々勉強。これもやりがいです。
――どんな人と一緒に働きたいですか?
元気で意欲的、いい意味で楽しめる人です。自分が成長していかないと、周りも成長しません。そのため、自分を高めたい、学びたいという想いがある人と働きたいです。また、法人の理念でもある「共に」という面で、自閉症に関心があり、一緒に生活や活動をやってみたいという方がいいです。「一緒に」というところがポイントです。最後に、いい意味で楽しめるというのは、自分ができないことまでも楽しめる姿勢があるということです。仕事は日々変化があり、相手は人なのでマニュアルのような対応もありません。うまくいかないことや自分ができないということに直面することもあります。そこで落ち込むのではなく、その状況を楽しみながら、次に向けて考え行動していくことができる人を求めています。
お忙しいなか、長時間熱心にお話いただいた伊自良苑の皆様、ありがとうございました。
事業所の取材は今後も続きます。関心がある方は、gifuinfo@ml.n-fukushi.ac.jp星野まで連絡をお待ちしています。
岐阜県内の優良企業研究セミナー開催
平成30年2月19日(月)に、岐阜県内の優良企業を研究する合同セミナーが岐阜市のじゅうろくプラザで行われました。
岐阜県内から42社の企業が一堂に集合。それぞれのブースで業界の動向や、企業の特徴、仕事の内容についてじっくりと丁寧にお話していただきました。
各ブースとも、絶え間なく学生が訪れており、企業の担当者様も説明に熱が入っています。
参加した学生からは、たくさんの話を聞けたけど、まだまだ時間が足りなかったという声が聞こえていました。
参加した企業の中には、本学の学内説明会に来ていただける企業もあります。今回聞き逃した方は、ぜひ学内説明会で優良企業との接点を作っていきましょう。
学内説明会に参加する岐阜県の企業一覧は、こちらでご覧いただけます。
学内説明会岐阜事業所一覧