地域づくりを体験的に考える
2018年8月8日に「地域づくりを考えるワークショップ」を開催しました。今回の企画は、岐阜県笠松町にある、社会福祉法人笠松町社会福祉協議会と共催で、日本福祉大学社会福祉学部と子ども発達学部の学生計16名が参加。社会福祉協議会の仕事を通じて地域づくりについて考えました。
ワークショップは、笠松町内にある地域サロンからスタート。笠松町では、地域の方が企業やお寺、公共施設などと協働して、多数のサロンを運営されています。今日は、その中の一つ、笠松保育園の中で開かれている「かさほサロン」へ伺いました。
最初に笠松町社会福祉協議会の森会長から歓迎の言葉をいただき、早速、地域の方との交流です。集まられた方とお話をしたり、一緒に子どもたちと遊んだりと、保育園で開催されているサロンならではの体験をすることができました。
サロンの目的として、地域の方が集まり、顔を合わせて話すことで、つながりができ、課題の発見や孤立の予防、見守りの役割が挙げられます。その大切さを現場で学びました。
見学後は、笠松町内の散策です。事前学習で、笠松町の現状を統計情報から調べてきた学生たち。その情報をもとに、町内を歩きながら、自分たちの目でその現状を確認していきます。町内の細い道や、商店街、他のサロンが行われているお寺などを見て回りました。
お昼の休憩を挟み、午後からは公民館でグループワークです。今回の企画、準備、運営を行なっていただいている笠松町社会福祉協議会の児玉事務局長、荒木センター長、生活支援コーディネータの栗本さん、青山さんからあらためて自己紹介をしていただき、ワークに入ります。児玉事務局長、荒木センター長、青山さんは、日本福祉大学の卒業生でもあります。
まずは、午前中に見学してきたサロンや笠松町の情報の整理です。栗本さんから社会福祉協議会が関わってきたサロンの説明を伺い、荒木センター長に事前学習の解説と共有をしていただきながら、笠松町という地域と社会福祉協議会の役割の理解を深めます。
続いて、いよいよ、今回のワークショップの中心課題。地域づくりを考えるワークに入ります。困りごとを抱えた地域の方に対して、自分たちが社会福祉協議会の職員としてどんな働きかけができるかを考えました。事例は、地域で認知症を患い、孤立しかけている方のへの対応です。まずは、その方がどんな状況なのか、どんな気持ちなのか、何を望んでいるのかをグループで話し合いました。それをもとに、後半は支援を考えます。
今回は、テーマが「地域づくり」であるため、考える支援は、困りごとを抱えた本人だけではなく、その周囲に対してどうしていくかに焦点を当てました。学生たちは、地域にある社会資源や人物の情報をもとに、その資源をどう活用するかと、新たにどんな資源があれば、支援ができるか、意見を出し合います。
各グループの発表では、地域の人や資源同士をつなげる働きかけや、今まで行なっていなかった場所、考えつかなかった場所でのサロンの開設など、今日1日の学びと、柔軟な発想力を生かした意見が多く出されました。
発表の後は、荒木センター長と栗本さんから、今回の事例について、実際に社会福祉協議会で行なった支援についてお話を伺いました。できないことの支援ではなく、できることの応援をしていくことで、地域が変わっていく。その過程を事例を通じて学ぶことができました。
最後に、笠松町の歴史を映像で振り返ります。「地域の支援に関わるには、地域の歴史を知り、地域の想いを知る。そして、その地域を愛することで初めて行える」という荒木センター長の言葉を、学生たちは真剣に聞き入っていました。
ワークショップを終えて、疲れた表情の中にも、たくさんのことを学んだ学生たちの姿を見ることができました。帰りに、職員の皆さんが普段働いている職場を見学して、本日は終了。
笠松町社会福祉協議会の皆様には、企画の段階から大変おせわになりました。また、かさほサロンの方、地域住民の皆様、本日は、ありがとうございました。
〜参加学生の学び、感想〜
・社会資源は、どのようなものが必要かということだけでなく、どうやってアプローチして、つなげていくかが大切だと学んだ。
・サロンの取り組みを見ても、形もやり方も多様で、考え方や方法は一つではないと気づけた。
・主体的に動けば、街や暮らしや社会は変えられると感じた。
・自分が住んでいる地域についても、しっかり調べてみようと思った。
・地域の方と直接コミュニケーションを取ってからワークをしたことで、学びが深まった。