経済学部では、学生の社会人基礎力を育むことを目標とし、課題に取り組むことで力をつける「課題解決型学習」である地域研究プロジェクトを展開しています。この科目では、大学の外に出て、仲間や地域の人たちとの関わりながら、自ら考え、動くことが求められます。
この科目の導入として、これまでの局地的災害の経験から、地域について学ぶうえで重要なテーマである「防災・減災」について理解を深めること、そしてチームワークを高めることを目的に8月31日から1泊2日で、「防災・減災キャンプ」が企画されました。この合宿形式の授業では、経済学部生14名と教員7名が参加しました。講義だけでなく、フィールドワークやグループワークといった参加型の学びの要素が詰まっていました。
まず、東海市防災危機管理課の防災専門員から、東海市の被害想定や避難所、災害時に想定されること等について話を聞きました。その後は、何年も被災地支援を実践されている山本克彦福祉経営学部准教授と佐藤大介全学教育センター助教によるワークショップが行われました。
ワークショップでは、4つのグループに分かれて、メンバー各自しか持っていない情報(正しくない情報も含む)を基に地図を作成するワークが行われました。情報を提供する側の伝え方や判断により、作られる地図は大きく変化します。他のグループの地図を見比べてみると、参加者たちから大きなため息や歓声が沸き上がりました。
次に、災害時の食事を知るため、非常食で夕食をとりました。お湯でもどして食べるアルファ米や、パンの缶詰、常温のスープなど、これまでに味わったことのない非常食に、「意外においしい!」「これは苦手」などの感想が出ていました。グループを一つの家族とみなし、配給も自分たちで行いました。
一日目の最後は、緊急避難所となる東海キャンパス内を探索し、備蓄倉庫や体育館、トイレの場所などを確認しました。災害時には、どのような点が問題になり得るか…をシミュレーションしながら、キャンパスウォークが行われました。例えば体育館では、プライベート空間をどう確保するのか、もたれかかることのできる壁際は誰が使うべきかといった避難所運営を想定した意見も出てきました。
2日目は、避難生活や避難所運営の課題に対して、災害時に自分たちができることは何か、どのような活動が求められているのかを考えました。避難所の閉塞的な雰囲気を和らげるために、交流企画を行いたいという意見や、防災情報を集約し、発信するステーションを構築したいという意見が出されるなど、活発な議論が行われました。
1泊2日のワークキャンプを終え、修了証を手にした学生たちは、みなとても良い顔をしています。発災時には、緊急避難所の役割を担う可能性がある東海キャンパス―。当然ながら、学生もその運営支援で力を発揮することが期待されています。今回のワークキャンプでは、様々なアクティビティを通じて、チームビルディングをしながら、防災・減災を自分事として考えることができたようです。
【参考リンク】
日本福祉大学 経済学部
日本福祉大学 地域研究プロジェクト
日本福祉大学 ふくし・マイスター