11月28日(木)に半田キャンパス近くの半田市亀崎地区にて、全学FD/SD事業として「きょうゆうサロンフィールドスタディ」を開催しました。「地域連携教育におけるフィールドスタディの学び~半田市亀崎地区における学生の地域活動を中心に~」をテーマに、教職員14名が亀崎地区を訪れ、地域と協働した学生の取組を視察し、地域連携教育を推進する上での気づきや学びを共有しました。
亀崎地区にある歴史ある町屋
亀崎まちおこしの会の石川氏(写真右)
亀崎地区は、交通の要所として古くから栄えてきました。そんな歴史と文化の蓄積を今も町並みを通して感じることができるこの町は、半田キャンパスから徒歩20分の位置に所在。本学とは、健康科学部福祉工学科建築バリアフリー専修の学生の取組を中心に相互連携を進めており、まちづくりの課題解決を通してまちづくりの担い手育成に貢献してきました。
当日は、同地区で長年まちづくりのコーディネータとして活躍するNPO法人亀崎まちおこしの会の石川正喜 氏と、本学地域連携アドバイザー兼半田市観光協会観光ディレクターの池脇啓太氏の案内でまち歩きを行い、学生の地域協働の取組である「エアコンの室外機カバープロジェクト」・「学生シェアハウス」や、「亀崎地域大学」での展示について視察しました。
“せこみち”と呼ばれる細い道にある古井戸
海に向かって続く坂道が特徴的な起伏ある地形
まち歩きでは、この地域の方言でいう「せこみち」(人が互いにすれ違えるかどうかの狭い道)を案内してもらいました。路地裏とは呼ばずに愛着を込めて「せこみち」と呼んでおり、今もなお生活道として利用されていることが、町の特徴のひとつとなっています。「せこみち」では、古井戸、鬼門地蔵、焼杉板の黒い塀、小さな階段など文化を感じさせるものを辻々に見ることができます。また、いくつもの坂道と繋がっており、道ごとにこの地域の地形を感じとることができます。
学生シェアハウスに暮す学生から話を聴きました
亀崎地域大学の経緯について説明する石川氏
まち歩きの途中で築約50年の空き家を改装した「学生シェアハウス」に立ち寄り、そこで暮す学生から日々の暮らしや地域との関わりについて話を聞きました。また、通りに面した長屋を改築した「亀崎地域大学」は、全館レンタルスペースとして運用され、1階はカフェと焼き菓子店が入店して地域の方と利用者との交流スペースになっています。その2階では、亀崎地区における日本福祉大学、椙山女学園大学、名城大学の学生の活動紹介パネルや建築模型が展示されていました。この企画に携わる池脇地域連携アドバイザーからは、学生の地域での活動を“見える化”することによって地域の理解を深め、学生がまちに関わる機運をさらに高めていきたいと企画の意図などが説明されました。
その後、NPO法人亀崎まちおこしの会が運営する「まちかどサロンかめとも」に戻り、全学教育センター佐藤大介助教のコーディネートのもと、亀崎の魅力についての気づきと、その魅力を活かした地域連携教育の取組のアイディアについて参加者全員で共有を行いました。亀崎地区の魅力について、「海や山などの地形が文化の入り口になっている」、「暮す人の染み込むような人柄」、「よそ者や新しいものを受け入れることができる独特の雰囲気」など、この地区を訪れたからこそ知り得た気づきが各参加者から語られ、これを全体で共有することができました。また、「現地のコーディネータと大学のコーディネータとの丁寧な協働があったからからこそ、地域の魅力と学生の持ち味を活かした多様な活動が行われている」など、地域連携教育を進める上での重要なポイントが振り返りを通して確認されました。
ご案内をいただいた石川氏からは、「学生は、失敗してそこから立ち上がる時が一番(人間として)伸びるので、これからも学生がたくさん失敗できる場を提供してきたい」とのメッセージをいただきました。このお言葉から、亀崎という地域の「懐の深さ」に学生たちが育まれていることを参加者全員が実感し、一日の学びを締めくくりました。
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【半田・健康科学部福祉工学科】日タイ3大学共同による「亀崎景観ワークショップ」が実施されました
日本福祉大学と椙山女学園大学、来日中のタイ スィーパトゥム大学と三大学共同で亀崎地区の景観調査に取り組みました。スィーパトゥム大学と椙山女学園大学は2015年、交換留学に関わる協定を締結しており、椙山女学園大学の村上心教授が半田市ふるさと景観賞の選考委員長を務めたことなどから今回の景観ワークショップが企画されました。
今回訪日外国人から見た町の魅力や可能性をまちづくりに生かすことが狙いで、三大学から約40人が参加しました。タイの学生は亀崎地区のシェアハウスなどに滞在し、本学生と椙山女学園大学生とともに町歩きなどを通じて現地調査を重ねました。
7月12日(水)には本学の半田キャンパスで中間発表会が行われ、学生から亀崎駅周辺を観光向けに改良することや、土産用の和菓子作りが体験できる場所の整備など、5グループごとに提案されました。
7月15日(土)クラシティ3階で最終発表会が開かれ、学生たちが調査の成果を報告しました。
日本福祉大学健康科学部福祉工学科の坂口大史助教は「地域の魅力を世界に発信することが求められている中、インバウンドの視点は重要。学生にとって国際交流の機会にもなる」と話されました。