社会福祉学部では、入学して間もなく、春季セミナーという合宿型研修を毎年行っています。春季セミナーの中で知多半島地域のフィールドワーク(以下、FWと略す)を通して、1年生全員がゼミごとに分かれて、地域を知り・地域を学ぶ体験を培うプログラムを実施しています。今年は、2日間の日程に分かれて18コースでフィールドワークを行いました。
2017年5月15日(月)、小林洋司ゼミは東海市荒尾町にある学童保育どんぐりクラブ(運営:NPO法人学童保育ざりがにクラブ)を訪れ、学童保育の歴史や学童保育の必要性などについて、代表の鳴海汎さんよりお話しをしていただきました。
全国学童保育連絡協議会の2013年「学童保育の保育指針(案)」によると、学童保育は、全国1600市町村にあり、施設数は2万か所を超え、約85万人の子どもたちが 学童保育に入所しているそうです。 代表の鳴海汎さんは、行政の施策として始まる前から民間で学童保育に取り組まれて38年になるそうです。その後、2003年にNPO法人化をして、NPO法人学童保育ざりがにクラブでは、現在、3つの自治体から学童保育の運営を受託しています。この他に、障がいを持った子どもの居場所づくりとして放課後等デイサービス事業にも取り組まれています。
学童保育の一番の問題は、「人材の確保」とのことで、いかに職員の待遇を改善して働き続けられる職場をつくれるかが課題となっているそうです。今後、法制化が進む中で、少しずつではあるが改善が図られていくとのお話を聞くことができました。担当の小林洋司助教は、「学童保育は、さまざまな背景をもつ子どもが集まる場所だし、日によって利用する子どもも違うため、指導員はその場面に応じて臨機応変な対応が求められる。そのため高度な力が必要になる。だからもし学生時代に関われるなら、力が身につく実践の場になる」と、話をされました。
質疑応答では、民間で学童保育を運営するメリットについて質問がなされ、「より柔軟に利用者の声を事業に反映できる」点をお話しいただきました。NPO法人学童保育ざりがにクラブでは、最大20:30まで延長保育の対応をしているそうで、共働き世代が増えるにしたがって、学童保育への社会ニーズはますます高まってきているようです。
その後、荒尾町のFWでは、臨海部の工業地域を眺めながら、東海市しあわせ村までのコースを30分ほどかけて全員で歩きました。学生たちは、古い家と新しい家やアパートが混在する地域を観察して、「移り住んできている人が多いのではないか」「旧住民と新しい住民との関係はうまくいっているのか」など、おのおの気づいた点をノートに記録していました。